平成29年度 瀧澤さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:航空宇宙工学コース 瀧澤さん

5年 航空宇宙工学コース 荒川キャンパス
瀧澤さん
柔道部 部長 軟式野球部所属
東京都出身

入学前に産技高専を知ったきっかけは何ですか

2つ上の兄が産技高専に入学したことがきっかけです。兄は飛行機が好きで産技高専に行ったらしいんですが、それを聞いてまず「高専って何だ?」と思いました。自分がいざ受検生になったときに、とりあえず兄がいる学校を見に行くかと思って、学校見学に来ました。見学に来てみたら、学生が結構自由にやりたいことをしていて、楽しそうだったので、なんとなく雰囲気に惹かれていました。

入学することを決めた理由は何ですか

当時、自分の将来像は漠然としていて、人の役に立てる仕事がしたいなあと思っているくらいで、「何かをしたい」という目標はありませんでした。産技高専だったら、技術系のことが嫌いじゃなければ、空調や航空、自動車分野といった多方面に就職できるし、在学中に何かやりたいことが見つかると思っていました。

入学したら、何をしたいと思っていましたか

技術系の部活動に入りたいなと思っていました。兄が航空機整備同好会に入っていて、すごく楽しそうで、技術力もつくだろうし、いいなと思っていました。ただ、兄弟で同じ部活に入るのはちょっとな・・・と思って、色々見て周った結果、体を鍛えたくなって柔道部に入りました。
他には未来工房*1をやりたいと思っていました。結果としては落ちてしまったんですが、4年生のときに初めて企画を出すことができました。内容は自動車に関わるもので、自動車って曲がるときは内輪と外輪の回転数が違うんですが、それをディファレンシャルギアというものを使ってうまく回転数を合わせているんです。それを自分で製作したいなと思って企画を出しました。

*1 未来工房・・・学生が課外でものづくりをする際に、自分たちで企画・提案し、承認されたものに対して、掛かる費用を補助する制度のこと。

入学後に、入学前と比べてギャップを感じましたか

兄を見ていたらいろいろと伝わってきたので、あまりありませんでした。けっこう自由に過ごしている感じが伝わってきていました。実際に入学してからもやっぱり自由で、ギャップは全然感じませんでした。

中学生のころはどんな中学生でしたか?

野球部に所属していて、成績は5段階評価の平均で4くらいでした。人の前に立って何かをやるのが好きで、いろんな行事にも積極的に参加していましたし、生徒会長もしていました。自分でいうのも変ですが真面目でしたね。

産技高専の校風はどんな感じですか

自由な学校ですが、個人の責任も大きく、成長できるかは個人の頑張り次第だと思います。 本気で力をつけたいならテスト勉強だけでなく、自分から率先して勉強していかないといけないし、自己管理も必須です。
学生は本当に色んな人がいます。普通の高校は偏差値で大体同じような人たちがまとまっていると思っているんですが、高専は幅広い人がいっぱいきています。延々とtwitterで映画と音楽の考察を本気でやっている人とか、個性的な人がいます。

今までの学校生活で一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください

成績がクラスで3位になれたことが嬉しかったです。というのも、1年生のころは教養科目が多くて*2、順位はあんまり良くなかったんですが、上級生になって専門の科目が増えるにつれ、順位が上がってきて、専門的な知識や技術が自分の身についてきていることが実感できて嬉しかった。それで勉強も好きになってきて、さらに成績も良くなりました。

*2 産技高専の教育・・・産技高専では、1年次に混成クラスで共通の授業を受け、2年進級時にコースを選べるコース選択制が採用されています。コースに分かれてから、より専門的な科目が増えていきます。

逆に一番つらかったこと、悔しかったことを教えてください。

部活動の柔道の団体戦で負けてしまったことが一番悔しかったです。1年生の夏の試合だったんですが、練習だと全然緊張しないのにガチガチに緊張してしまって、負けてしまいました。個人戦と違って団体戦だと自分の責任でチーム全員が負けてしまうことになるのがプレッシャーになってしまって緊張してしまったんだと思います。

2年次でのコース選択は迷いましたか

都立産業技術高専 学生インタビュー:航空宇宙工学コース 瀧澤さん

入学のときから航空宇宙工学コースに行こうとほぼ決めていました。入学前の学校説明会*3などでも在校生がコースのことを紹介してくれていて、航空宇宙工学コースの人におすすめされました。自分も飛行機が好きだったし、実際に入学して勉強していて、電気よりは機械のほうが自分に合っているかなと思って航空宇宙工学コースにしました。

*3 学校説明会・・・受検希望者に向けて行っている、本校を知ってもらうための取り組みの1つ。詳しくはこちら

所属するコースの特徴を教えてください

航空宇宙工学コースは、力学の基礎をしっかりと固める感じですね。例えば、「流体力学」の科目の中では圧縮できる流体(空気など)についての力学を学んだり、その他にも「航空宇宙工学通論」という科目では飛行機の形などの飛行機に特化した内容を学べます。

このコースで過ごしていて、良かったことや悪かったことはありますか

良かったことは「熱力学」や「推進工学」など自分の興味のある分野についての知識を深めることができたことです。「推進工学」は特にジェットエンジン*4について学べたので、めちゃくちゃ面白かったです。圧力と温度とタービンの圧縮比、比熱比等を使ってジェットエンジンの性能計算をやっていました。他にも「輸送機械工学」では、自動車のことを学べたし、実験実習も面白かったですね。
悪かったことは機械加工の実習がほとんどなかったことです。実験は多いんですが、加工の実習はあんまりありませんでした。新しくなったカリキュラムではあるようです。

*4 ジェットエンジン・・・外部から取り込んだ空気を利用すること、および噴流(ジェット)を直接的に生成することをともに満たし、ジェットに起因する反作用を推進に直接利用する熱機関のこと。主に飛行機に利用される。

今の研究内容について教えてください

小型単気筒エンジンを用いた燃焼サイクル解析装置の開発をしています。所属している研究室ではエネルギー変換技術を学んでいて、液体燃料*5のエネルギーをエンジンによって熱エネルギーや圧力エネルギーに変換して、ピストン*6とクランクシャフト*7を通して運動エネルギーに変えるという一連の流れを解析することにより、効率的なエンジンの開発につなげようと思っています。

*5 液体燃料・・・燃料に使われる液体のこと。石油系のガソリン、灯油、軽油、重油等が代表例
*6 ピストン・・・機械部品の一種。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関や、蒸気機関やスターリングエンジンなどの外燃機関に使われる。
*7 クランクシャフト・・・エンジンの構成部品の一つで、ピストンの往復運動を回転力に変えるための軸のこと。

都立産業技術高専 学生インタビュー:航空宇宙工学コース 瀧澤さん

小型単気筒エンジン

卒業後の進路に就職を選んだ理由は何ですか

大学で勉強すると学術的で専門的なことは学べるけど、実用的なところは学べないんじゃないかなと思ったからです。就職してからもずっと勉強していかないといけないし、実際に現場で働いたほうが役立つ人間になれるのかなと思いました。産技高専で学んでいて、機械系の勉強がドハマリして、「専門的な勉強おもしれえ!」ってなって、進学も一瞬考えたんですが、やっぱり就職だなと思って就職にしました。

就職先でやりたいことはありますか

自動車メーカーに内定しているんですが、自動車の生産や設計に関わる業務を通して、より安全な車を1円でも安く開発できるようにして、普及させていきたいと思っています。世界と社会に安全な車を増やして、事故ゼロをいつか実現したいです。

産技高専を志望する方へのメッセージ

就職率がいいとか進学がいいといった良い点が目に付きますが、それは学生みんなが努力した結果です。産技高専は現場上がりの先生がいたりしてとても頼りになります。図書館で本読んでいてわからないことがあってもそういった先生が教えてくれるから理解が深まるし、自分が突き詰めようと思えばどこまでもできる環境があるので、頑張ってください。それに、入学後は信頼できる仲間をつくって、いろいろなことに挑戦してたくさんの経験を積んでください。


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