平成29年度 澤野さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:機械システム工学コース 澤野さん

5年 機械システム工学コース 品川キャンパス
澤野さん
東京都出身

入学前に産技高専を知ったきっかけは何ですか

父親に紹介されて知りました。中学生のとき、多くの人は普通高校に行って、大学に進学するという流れだと思いますが、自分には合わないような気がして、なんとなく、もっと面白い道があるんじゃないかなと思っていました。技術と美術の授業が好きで、自分の手で創造することに興味があったので、工業高校に進学したほうがいいのかなと思っていたところに父親に言われて興味を持つようになりました。

入学することを決めた理由は何ですか

当時、早く自立したいなと思っていて、産技高専なら5年間の専門教育を受けて20歳から働けるし、大学に行くよりも早く自立できるという点は自分の中でけっこう大きい理由でした。 それに学校説明会に参加して、工場*1を見たら、設備の本気度がすごかったです。座学ばっかりじゃなくて、実際に手を動かして学べる授業があるのは魅力的でした。 あとは、親の薦めがあったのも理由ですね。

*1 工場・・・実践的な教育のための実験実習を行うために様々な工場や実験室があります。

入学後に、入学前と比べてギャップを感じましたか

都立産業技術高専 学生インタビュー:機械システム工学コース 澤野さん

思っていたより個性的な人が多かったです。入学前は、典型的な“THE高校生”って感じの人が多いんじゃないかなと思っていましたけど、そういう人たちだけじゃなく、いろんなことに熱中している人も多くて、幅が広かったです。ゲームを本気でやっている人がいたり、バイクや自動車が大好きといった中学校のときにはあまり出会わなかった人がいたり、自分とは違う世界観を持っている人がめちゃくちゃいるなと思いました。中学校卒業してすぐにこういう何かに熱中している人たちに出会うとは思ってなかったです。

産技高専の校風はどんな感じですか

良い意味でも悪い意味でも自由です。自己管理ができないと大変ですね。休んだり、成績がよくなかったりすると、先生は心配してくれるし、声も掛けてくれるけど、自分でできないと厳しいと思います。ただ、未来工房*2などで自分の好きな研究やものづくりができるので、自由にやりたいことはやれます。

*2 未来工房・・・学生が課外でものづくりをする際に、自分たちで企画・提案し、承認されたものに対して、掛かる費用を補助する制度のこと。

今までの学校生活で一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください

会社の内定が決まったことが嬉しかったです。早く自立するというゴールに近づきましたし、今までがんばって勉強してきたことが報われた気持ちになりましたので嬉しかったです。

逆に一番つらかったこと、悔しかったことを教えてください。

レポートと課題が辛かったです。中学生の頃は、先生から教えてもらったことを吸収して、答えを出すというどちらかというと暗記するようなことが多かったと思いますが、産技高専では、先生から実験の方法だけ教えてもらって、実験した結果から何が分かるのかを自分で“考察する”っていう作業になるので、この考察が一番難しくて辛いポイントでした。実験データから自分で考えるのは時間が掛かるし、正解がわからないので辛いですね。
あとは機械システム工学コースではレポートを手で書くことも多くて、これも辛かったです。ただ、こういったことを経験して、考察とは何ぞやっていうのを学べたので、結果から何が分かって、何が考えられるかというのを考える習慣がつきました。普通の高校生はあまりレポートとかないかもしれませんが、高専とレポートは切り離せないので、鍛えられたと思います。

都立産業技術高専 学生インタビュー:機械システム工学コース 澤野さん

2年生のときに作成したレポート

2年次でのコース選択は迷いましたか

将来のビジョンといったものがあまり定まっていなくて、雰囲気と直感で選びました。一年生のときに機械、生産、電気、情報の各コースに関係する実習をするのですが、そのときになんとなく情報は自分に合ってないなっていうことと、機械の実習が面白かったので、機械システム工学コースにしました。結果、幅広く機械のことや関連分野を学ぶことになるので、よかったと思います。

このコースで過ごしていて、良かったことや悪かったことはありますか

工作機械などを用いて、実際にモノをつくれたのが良かったです。自分は授業以外に部活動とかで工作機械を触ってはいないんですが、実習の中で地球ゴマ*3と万力*4をつくりました。あとは他のコースに比べて材料の特性を調べる実験が多いと思います。モノの素材、強度や使い道のことについて一番詳しくなれるコースだと思います。 苦労したことは、卒業研究の中間発表です。発表するためのパワポ作りや研究の資料作りはもちろん大変でしたが、自分の研究を先生方に理解していただけるように、具体的なデータを用いた論理的な発表を考えるのにも苦労しました。

*3 地球ゴマ・・・ジャイロ効果の原理を応用した科学玩具のこと。
*4 万力・・・対象物を2つの口金の間に挟み固定する工具や機構のこと。

今の研究内容について教えてください

空気圧の正圧と負圧*5で作動するベローズアクチュエータ*6を使って、ファイバースコープの代わりになる大腸検査用のロボットを製作しています。ミミズやシャクトリムシみたいに動くロボットで、大腸の中を検査できます。ファイバースコープと違ってコストが安く、使い捨てできるため、伝染病の恐れもなく、また熟練した操作技術もいらないので、将来的に利用されるんじゃないかなと思っています。大腸のリアルなモデルが研究室にあって、それを見ながら、一緒に研究している学生と話し合ってつくっています。

*5 正圧と負圧・・・正圧は大気に比べて圧力が高い方、負圧は大気に比べて圧力が低い方のことをいう。
*6 ベローズ・・・筒状のものにひだを設け、伸縮性・気密性・バネ性を持たせた伸縮管のこと。ベローズアクチュエータは伸縮管に入力されたエネルギーを能動的に作動または駆動させるもののこと。

卒業後の進路に就職を選んだ理由は何ですか

都立産業技術高専 学生インタビュー:機械システム工学コース 澤野さん

入学する前から自立したかったというのは前に言ったとおりですが、卒業後、実際に社会で働いて、活躍したいと思ったからです。入学する前に考えていた“自立”は、今考えると甘いものだったと思います。ただ単に一人暮らしがしたいとか、もっと自分の主張をしたいとかいうものでしたが、今はしっかりと5年間、産技高専で勉強してきた自分の知識や技術を社会で発揮することにより、自立を実現したいと思いました。
実際に働き始めたら、色々なことに挑戦しつつ、経験を積んで、自分には何ができて、何ができないかを知って、もっと勉強していきたいと思っています。

産技高専を志望する方へのメッセージ

自由な学校なので、先生が何から何までやってくれる中学校とは違ってきます。入学したらまず課題やレポート、学校生活の自分のペースを掴むことをおすすめします。


▲Top