平成30年度 渡辺さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:専攻科 2年 情報工学コース 渡辺さん

専攻科 2年 情報工学コース
渡辺さん
文芸同好会所属(本科在籍時)
東京都出身

専攻科を知ったきっかけは何でしたか

本科4年生のころから、同じ研究室にいる専攻科の先輩と接点があってそのときに知りました。その先輩は、ネット上のニュース記事をテキストマイニング*1して、国同士の関係性がわかるようにするといった研究をしていたんですが、分析の部分に関しては先輩が行って、実際のネット上の情報を集めるプログラミングをやってくれと言われて手伝っていました。
そのときは別に専攻科に進学しようと思ってはいなくて、他の大学にいきたいなと思っていました。専攻科の先輩が大変そうだったのもあり、正直なところ4年生のころはどんな研究したいかも決まっていなかったので、漫然と国立大学に行こうと思っていました。

*1 テキストマイニング・・・大量の文書データ(テキストデータ)から、自然言語処理の手法を使って、有益な情報を取り出すこと。

専攻科に入学することを決めた理由は何ですか

勉強と研究をスムーズに続けるには良い進路だと思ったからです。本科のときからの継続で研究ができるので、魅力的でした。他の大学に進むには準備不足が否めなかったというものありますし、文学テキストをテキストマイニングの技術で解析するという、少し特殊な研究をしていたので、他の場所に行って同じことを続けられるかが不透明だなと思って専攻科に進みました。

本科卒業後に就職しようとは思いませんでしたか

基本的には進学しようと思っていました。やはり本科で学べる内容は大学教育の内容と比べると見劣りすると思っていたので、さらに勉強してもう少し情報工学のことがわかるようになってから社会に出たいと考えていました。また、できれば研究で学ぶことを活かせる仕事に就きたいと思っていたので、そういう面でも自分にとっては進学して就職の選択肢を広げた方が有利だと考えました。

どんな目標を持って専攻科に入学しましたか

都立産業技術高専 学生インタビュー:専攻科 2年 情報工学コース 渡辺さん

実は、入学した時点での最優先目標はドロップアウトしないでちゃんと修了することでした。笑 自分が本科にいたときに、中退する専攻科の先輩が何人か出ていたので、危機感を抱いていましたね。
とにかく、挫折しないようにちゃんと勉強や研究に取り組むことと、心身を壊さないことを意識していました。

専攻科に入学して、思っていた専攻科像とギャップはありましたか

一年生のときが想像以上に忙しかったです。一年生の間に必要な単位数を取ってしまおうと思って授業を詰め込んだことが原因ですが、8:40-16:00の間授業を受けて、そのあとは研究や課題に追われていました。毎日4,5時間は課題に取り組んでいた気がします。

本科とはどう違うか教えてください

本科のときは無意識に環境に甘えていたかなと思います。専攻科は本科と違って少人数なので、シビアに評価されます。本科だとテストで評価されることが多いですが、専攻科だと課題をしっかり採点されるので、しっかり普段からやっておかないといい成績が取れません。

専攻科に入って印象に残っている嬉しかったことやつらかったことはありますか

毎日が楽しくて辛いです。笑 授業や課題、研究に追われる日々ですが、好きで勉強している内容なので充実感があります。でもやっぱり、辛いときは辛いです。時には「自分はなんでこんなことをしているんだろう」と思ったりします。
特に印象に残っていることとしては、ED*2の授業が楽しかったですね。「昭和信用金庫・富士通・学生による知的財産を活用しビジネス創出」*3という発表会に出すために1年生のときにEDで他の人と協力しながらビジネスプランを作成し、結果2位を取れたのが嬉しかったですね。特に自分たちが力を入れていたところが評価されたのでよかったです。
あとは、1年生のときに企業へインターンシップに行って、タブレットのアプリの試作品の開発に関わらせてもらったんですが、実際に社会に出るものの開発に関わらせてもらって、社会とのつながりが見えて楽しかったです。

*2 ED(Engineering Design)・・・工業製品を作り出す過程における、アイデアの創出から設計、試作、評価、検討、製品化までといった、課題発見から課題解決までの能力を一連の流れの中で養成する教育のこと

*3 昭和信用金庫・・・本校と平成27年に産学連携協力に関する協定を結んでいます。詳しくはこちら

今のコースに決めた理由を教えてください

本科の電子情報工学コースに所属していたときも情報系をメインに学んでいたので、情報工学コースを選びました。専攻科に入って情報のことばっかり勉強しているので、本科にいたときよりも情報に関する専門知識を深める機会が多くなりよかったです。

研究内容について教えてください

都立産業技術高専 学生インタビュー:専攻科 2年 情報工学コース 渡辺さん

自然言語処理技術を用いて、小説のようなどちらかといえば文学的なテキストからデータマイニングを行う技術について研究しています。小説の書き手がどんなことを考えてこの小説を書いたんだろうとか、この作家の書き方の特徴はどのように表現できるだろうかとか、そんなことを分析する分野です。現在、直接取り組んでいるのは、文体で作家が見分けられるようにする研究です。自分自身文芸同好会に所属していたこともあり、割と自分の趣味から始まった研究のような感じです。

卒業後の進路はどうする予定ですか

大学院へ進学したいと思っています。高専に7年間いて、他のところでも研究したほうがいいなと感じましたし、今、研究の参考にさせてもらっている論文を書いている先生がいらっしゃるところに行きたいなと思っています。

後輩や専攻科を志望する方へのメッセージ

どんとこい!という感じです(笑)。これには、「どんどん来てほしい!」というポジティブな意味と、「Don't 来い」というネガティブな意味と、両方あります。
ある程度やりたいことが決まっていて、専攻科でどんなことをし、どんな風に卒業していくのかというビジョンが決まっている高専生にとっては、専攻科は良い進路だと思います。専攻科という環境を上手く活かして成長できると思います。 逆に、ビジョンが不明瞭なまま入ってしまうと、脱落してしまう確率が高いと思います。そういう人はむしろ環境を変えて、自分を見つめ直した方が良いのかもしれません。
安易に入ることは避けた方が良いけど、努力すれば結果につながる場所でもあるので、自信のある人におすすめです。


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