平成30年度 金子さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 金子さん

電気電子工学コース
金子さん
茶道部、選挙管理委員会(学生会)、保健委員会
千葉県出身

入学前に産技高専を知ったきっかけは何ですか

兄が産技高専に進学したので、その際、自分がまだ小学生だったときに知りました。
中学のとき、国語で長文を読むのが嫌いだったんです。「この作者はこう思っているけど、私はこう思うんだよ。」と思っていて、国語の答えが一つじゃない感じが嫌いでした。逆に数学は答えが決まっていて好きだったので、理系の高専もいいかなと思っていました。

入学することを決めた理由は何ですか

元々ものをいじるのが好きだったし、兄は「大変だ」と言いながら、趣味に没頭していて楽しそうだったので、なんとなく好感を持っていました。
母親にも「普通の高校は、中学校の延長みたいなもんだよ」って言われて、中学校と変わらないんだったら、いっそのこと個性突き抜けている高専で学んでみたいかもと思って受検しました。

入学したら、何をしたいと思っていましたか

国際化プログラムに参加したいと思っていました。実際に入学後はGEP*1とGCP*2に参加しました。最初にGEPに参加した際には「駅で交通案内くらいならできるし、海外に行っても伝わるだろう」と思っていたんですが、共通の話題もなく外国人と話すのが初めての経験で、なかなか話すことができませんでした。
それに反省して、二回目のGCPに参加したときは外国人慣れ?を少ししたこともあって、話せるようになりました。そのプログラムで仲良くなったシンガポールの子と今もSNSで連絡取り合ったりしています。参加費用も一般の学校と比べてお得だと思うし、いい経験になって成長したと思います。

*1 GEP(グローバルエンジニア育成プログラム)-28年度まで実施していた国際的な感覚を持ったエンジニアを育てることを目的としたプログラムで、アメリカのシアトルで学びます。現在は内容をリニューアルし、IEPとして実施しています。

*2 GCP(グローバル・コミュニケーション・プログラム)・・・首都大学東京の学生、もしくは産業技術大学院大学の学生がリーダーになり、高専生約4人とチームを組み、国内及び海外(シンガポール)での調査・研究を行い、英語でのプレゼンテーションも行う国際プログラムです。

入学後に、入学前と比べてギャップを感じましたか

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 金子さん思っていたほど、はんだごてを使わなかったことがギャップです。笑
学校案内冊子に掲載されていた写真に、はんだ付けをしているシーンが写っていたんですが、在学中はあまり使いませんでした。兄も自分のはんだごてを持っていたので「たくさん使うんだろうなー」と思っていましたが、結局兄は自分の趣味のために使っていただけで、授業で使うことは少なかったです。良かったわけでも悪かったわけでもないんですが、個人的に一番のギャップでした。

産技高専の校風はどんな感じですか

とにかく自由です。課題は楽じゃないけど、「こうしなさい」と言われることはないし、「こうじゃないといけない」みたいなものがあまりないです。
中学生のときは、ルールだからといって夏なのに制服を4枚くらい着ていたんですが、意味が分からなかったです。熱いし、納得のいかないルールばっかりでしたが、産技高専ではそういったことはありません。他にも、開放されている部屋があって、テスト前も自由にそこを使って勉強会できたり、自由ですね。

今までの学校生活で一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください

友だちと話しているのが一番楽しいですね。みんな個性があって、話していても毎日新鮮です。電気電子工学コースの友だちとは、エレベーター乗って、スマホをいじっていると「静電遮蔽だよ」って言い合ったり、何でもグラフで例えたりして面白いです。友だちは、卓球の授業のときに角度を「こういう式のグラフのようにするとうまく飛ぶよ」みたいな表現していたこともあります。本当にラリーが続いていてすごいなと思いました。笑

逆に一番つらかったことを教えてください。

CPU*3設計の授業です。CPUの設計について学ぶ授業なんですが、自分で予習して、わからなければ授業中に聞くという形式の授業でした。設計するうえでCPU自体の仕組みの勉強もしないといけないし、基板をつくるソフトの勉強もしないといけなくて、しかもその説明書も英語で大変でした。加えて、チームで取り組む授業だったんですが、授業時間以外で集まって作業すると減点になってしまうという・・・なかなかシビアな授業でした。

*3 CPU・・・コンピュータにおける中心的な処理装置のこと。中央処理装置ともいう。

2年次でのコース選択は迷いましたか

あんまり悩むタイプではないので、すぐ決まりました。1年生のものづくり実験実習のときに、機械の製図の授業を受けましたが、とても緻密で難しいなと感じたし、機械を動かす実習のときも自分の力が足りなくて動かせなかったので諦めました。電気電子工学コースの実習は、実際にものづくりしている感じがしてよかったです。テスターをつくったり、5V直流電源をつくったりして面白かったので、このコースにしました。

電気電子工学コースで過ごしていて、良かったことや悪かったことはありますか

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 金子さんいろいろなことを体験できることは良いことだと思います。多くの機器を使うことができたり、講習会で先輩から教わったり、他のコースではできない高電圧に関する実験が出来たりと、学ぶ機会が多いです。あと、このコースは個性の強い先生がいっぱいいて、それも良いことだと思います。笑
ただ、レポートがつらいですね。4年生のときは実験前に目的、原理、方法についてのレポートを書かないといけなくって、実験後も結果、考察、結論について書いたレポートを提出する必要があって大変でした。

面白いと思った授業はありますか

応用数学です。この先生で良かったと思うくらい楽しくてわかりやすい授業でした。それに実際に学んでいた3年生のときは全然使用しませんでしたが、4年生になってから習ったことを使用することが多く、役に立ったのもあって受けて良かった授業でした。
数学を別視点で考えることができたのも面白かったです。「この式って収束しないだろうな」と思ったものも先生がやると収束できて、驚きというか新しい発見があって良かったです。

今の研究内容について教えてください

電磁穴あけの研究をしています。数マイクロの大きさの穴を電磁の力を使ってあけています。箔などに電磁的に穴を開けられる技術で、医療分野で使われているマイクロポンプに利用されており、他にも様々な物の軽量化が進む上で注目されている技術です。
世界的に見ても、日本・ドイツ・アメリカくらいしか行っていない研究で、日本で電磁穴あけと電磁圧接をやっているのは産技高専くらいらしく、研究室を選ぶときに、「本校でしかできないって言われたからやるしかないな」と思ったので、この研究をしています。

卒業後の進路に就職を選んだ理由は何ですか

早く独り立ちしたかったというのが理由です。それに、今している研究内容が、産技高専でしかできないし、大学に進学しても継続した研究ができないので、それだったら今まで学んだことをもとに就職して、新しい環境で頑張りたいと思ったので就職にしました。
就職先では、研究内容はあまり関係ないですが、電力関係の仕事をすることになると思います。可能な限り、自分の手を動かしてずっと仕事をしていきたいと思っています。

産技高専を志望する方へのメッセージ

産技高専は、工学の知識がなくても自然に学習できるので、あまり不安に思わなくても大丈夫だと思います。いろんなことに興味を持つと部活動や課外活動も含めて、自分自身の世界が広がる楽しい場所です。でも、産技高専でも、他高専でも、高校でも、どんな進路に進むとしても、しっかり悩んで自分が興味を持てるところにいってほしいと思います。


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