平成30年度 飛田野さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:電子情報工学コース 飛田野さん

電子情報工学コース
飛田野さん
情報セキュリティ技術者育成プログラム受講
東京都出身

入学前に産技高専を知ったきっかけは何ですか

色々な高校の過去問が収録されている総合問題集で名前を見かけたことがきっかけです。高専が出典元の問題が全部難しくて、必ず間違えてしまっていて、どんな学校だろうと思っていました。それから興味をもって調べたり、父から地方の高専の話を聞いたりして面白そうだなと思いました。

入学することを決めた理由は何ですか

英語とか国際のことを勉強したくて、それに強い中高一貫の女子校に通っていたんですが、その学校の方針が変わって別のことを勉強することになってしまって、外部受験をすることになりました。しかし、第一志望の英語教育が特徴的な文系の高校には落ちてしまって、すべり止めの文系の高校に行くか、産技高専に行くかの二択になりました。そもそも私は、やりたいことを仕事にしている大人になりたくて、そのためには力を身に付けないといけないから、実習が多く、専門的なことを勉強できて、理想に近づきやすそうな産技高専に進学しました。

入学したら、何をしたいと思っていましたか

都立産業技術高専 学生インタビュー:電子情報工学コース 飛田野さん

理数系の科目が苦手だったので、克服したいと思っていました。ただ、入学当初は受検勉強の延長で上位の成績を取れていて「別に頑張らなくても大丈夫かな」と思っていたんですが、2年生くらいから成績が落ちてしまったんです。やっぱりちゃんと勉強しないとだめだと思いなおして、プライドも捨てて同級生や先生にわからないことは聞きまくりました。
そうして勉強していくとなんとか成績は戻って来て、中学のときは数字を見るのも嫌だったんですが、慣れたのか苦手意識は無くなりました。やっていくにつれてそんなに難しくないんじゃないって思うようになったというか、理数系の科目が身近になったような気がします。

中学生のころはどんな中学生でしたか

文系科目が好きで、ギター部に所属していました。ものづくりというよりは何かを表現することが好きでした。今はものづくりが楽しくてあんまりやらないですね。

ものづくりってどういうところが楽しいんですか

最初は楽しいと思わなかったんです。あるとき先生に「時間を忘れられるくらいできることが自分に向いていることだよ」って言われて、私もものづくりや情報セキュリティの勉強をしているときは、気づいたら時間が過ぎていたりしたので、楽しいというか、時間を忘れて打ち込める夢中になれることが今はあるということですかね。

産技高専の校風はどんな感じですか

良くも悪くも自由です。先生が別に何も強制してきません。やりたいことをやろうと思えばいくらでもできるし、やらないでもおけます。
将来の夢というか目標があれば、「今これをやったほうがいいよね」って思えるので、自発的にそこにつながるものを頑張れると思います。やりたいことや目標がはっきりしていなければ、何のためにやっているかわからなくなって頑張れないと思います。

今までの学校生活で一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください

中学生向けのCST*1というイベントを成功させられたことです。情報セキュリティ技術者育成プログラムを受講している学生が主体となって、イベントを運営したのですが、私は情報リテラシーに関するプレゼンテーションを担当していました。しかし、本番当日までずっと納得いくプレゼンができず苦戦していました。プレゼン自体にも慣れておらず、先生方に厳しく指導され、辛かったんですが、本番当日は練習の成果が出たのか、自分でも驚くほどスムーズにプレゼンができて、大成功しました。中学生のためになれたのも良かったし、あとで先生も含めていろんな人に「良かったよ」って言っていただけたので、それが嬉しかったです。

*1 CST(Cyber Security TOKYO)・・・将来の情報セキュリティ人材となり得る中学生を対象に、楽しみながら情報システムのセキュリティ対策を学んでもらう場の提供を目的として行う体験型の勉強会のこと。詳しくはこちら

なぜ情報セキュリティ技術者育成プログラム*2に参加しようと思ったのですか

自分自身が高専の1年生くらいのときに情報漏洩の被害にあったことがあって、そのときにセキュリティに関する仕事があることを知りました。そしたら、ちょうどこのプログラムが産技高専で始まったので興味を持って入りました。

*2 情報セキュリティ技術者育成プログラム・・・平成28年度から始まった新しい教育プログラムのこと。産業界及び社会ニーズを踏まえた、情報セキュリティ分野の実践的な教育プログラムを提供することにより、多くの人・企業・情報が集まる首都東京の情報セキュリティを担う人材を育成することを目的としている。詳しくはこちら

それでは逆に一番つらかったことを教えてください

都立産業技術高専 学生インタビュー:電子情報工学コース 飛田野さん

実習のレポートです。電子情報工学コースに入って最初に書いたレポートを提出したときは、「日本語を書くことができていない」と先生に酷評されました。それまでは作文や読書感想文などのコンクールで入賞したこともあって、文章を書くことに自信を持っていたのでショックでした。ただ、レポートを書くにつれ、作文で書くような表現の方法とは全く違うと気づき、今振り返ってみたら、ひどいものを書いていたなと思います。何回も同じことを書いていたり、同じ文の中に接続詞がいくつもあって長文になったりしてしまっていました。

2年次でのコース選択は迷いましたか

あまり迷いませんでした。1年生のときに全コースに関する実験実習を受けますが、機械系に関する授業は不得意だったので、その時点でもう電子情報工学コースに行こうと決めました。実際にコマをつくる機械系の実習があったんですが、材料を機械で削っていたときにその材料を飛ばしてしまったことがあって、元々製図とかCAD*3は難しいと感じていたので機械系のコースは諦めました。笑

*3 CAD・・・コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツールのこと(CADシステム)。

面白いと思った授業はありますか

色々な基礎的知識や技術があって初めて授業は面白くなると思うので、5年生になるまであまりないように思います。ただ、3年生から受け始めた情報セキュリティ技術者育成プログラムの授業は、普通の高専生活のなかでは学べない、より専門的で実践的なことをほぼ座学なしで自分の手を動かしながら学ぶことができるので、面白いと思います。

今の研究内容について教えてください

VPN*4における、暗号化される通信の二重暗号化回避による通信速度の向上をテーマとして研究しています。平たく言うと、二重に暗号化される認証方式を変えて、受送信の両者であらかじめ認証するような方式にして暗号化を一つ割愛することにより、速度を上げる方法について研究しています。

*4 VPN(Virtual Private Network)・・・離れた場所の間を仮想的な専用線でつないで安全なデータ通信を実現する仕組みで、仮想プライベート・ネットワークとも言う。

卒業後の進路に就職を選んだ理由は何ですか

ギリギリまで進学と就職のどちらにしようか迷ったんですが、私は何かを懸命に突き詰めて学んでいくよりも、自分で手を動かして、何かをつくって技術力を高めることに興味があると気づいたので、就職しようと思いました。
インターンシップの経験からも影響を大きく受けました。インターンシップ先で自分の仕事があり、それを自分が責任もってやることにやりがいを感じ、楽しかったので就職がいいかなと思って就職を選択しました。将来的には、まだはっきりと決まっていませんが、ネットワークやそれに関するセキュリティの部門に携わることができればいいなと思っています。

産技高専を志望する方へのメッセージ

産技高専は自分に合えばとっても居心地のいい学校です。ただ、その環境に甘えているととんでもなく痛い目にあってしまいます。また、五年間って長いな、と考えるかもしれませんが、本当にあっという間です。失敗してもどうにかなるし、自分の本当にやりたいことを見つけられるよう、積極的に動いて高専生活を楽しんでください。


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