企業等インタビュー

株式会社明電舎:杉山さま

株式会社明電舎
杉山さま

平成30年12月インタビュー

株式会社明電舎は、明治30年(1897年)に創業し、「モートル(モータ)の明電」と呼ばれていました。現在はモータだけに留まらず、電力の発電・送電・変電・配電、東海道新幹線をはじめとした電鉄システム、水インフラシステム等、電気機器製造に関する事業を国内外問わず幅広く行っておられます。今回は過去に本校の運営協力者をされていて、現在は電鉄関連のプロジェクトに携われている杉山さまと、人事を担当されている鈴木さま、輪湖さまに企業のことや学生に向けてのメッセージを伺いました。

株式会社明電舎について教えてください

重電分野*1の総合メーカーとして電力・エネルギー、電鉄用システム、水インフラシステム、ICT、産業用コンポーネント、モビリティ、産業物流製品、プラント建設工事等の幅広い分野・製品を扱っています。重電分野では「国内重電5社」と言われています。グループ連結で9,000人弱社員が所属しており、アジアを中心に海外でも展開しています。
創始者が当時、国内にあるモータが輸入品だけだったことから、「このままでは常に世界にリードされてしまう」という危機感から日本で初めて国産のモータを製作しました。このモータは昔農家で脱穀機や製糸機械に使われ、当社は「モートルの明電」と呼ばれていました。

*1 重電・・・家電とは違って、大型の電気機械のこと。発電機や電動機など。

当初製作されたモータ

現在、当社のモータは活躍の場を変えていろいろなところで使用されています。実は各種エレベータのモータも明電舎のものが多く使われており、ドバイにある有名な世界一高いビルであるブルジュ・ハリファのエレベータにも使われています。世界で初めて量産化された電気自動車用のモータも当社が製作しました。
それ以外には、1922年に日本初の下水処理場である「三河島汚水処理場」に電動機を導入して以来、水処理の分野で強みを持っています。シェアが全国で12~13%、関東圏だと40%程度あり、水処理施設の電気設備や処理設備の監視制御システムを製造・販売しています。さらに電力供給、所内変電所、非常用発電機の分野に強みがあり、北は北海道新幹線、南は九州新幹線まで、全ての新幹線路に明電舎の電鉄用変電所が採用されています。あまり知られていないことですが、採用説明会でこの話をすると学生のみなさんに驚かれます。笑

JR東海より送られた感謝状と模型

本校の卒業生はどのように活躍していますでしょうか

まず、当社は4,000人ほど社員がおり、その内技術系が70%くらいです。その技術系の中で高専卒業生は320人ほど所属しています。産技高専の卒業生は2名所属しており、その内、航空宇宙工学コースを卒業した1名は実際に私が採用・教育を担当し、現在、水インフラ事業部のエンジニアリング部門で尽力しています。彼が学んだ専門とは直接的にはつながっていませんが、航空宇宙について学ぶ上で会得した機械分野の知識や技術を活かして、あとはOJT*2で学びながら働いてもらっています。

*2 OJT・・・On the Job Trainingのこと。企業での人材教育の手法で、仕事を通して業務に関わることなどを教える。

学生のときの専門に関わらず、様々な仕事をする可能性があるということでしょうか

そうですね。例えばよく高専生から「入社したら流れ作業のような試験をすることになりますよね?」と聞かれますが、必ずしもそうではなく、知識や技術に加えて入社後の3か月の合宿研修を通して見た適性も踏まえて配属は決まります。それに当社の場合、製品を顧客に合わせて設計していることが多く、たとえ試験をする部署に配属されたとしても、単調な試験ではなく設計の中身をしっかりと理解した上で取り組むことが必要です。そのため、試験課に配属されたとしても次は設計や製品開発を担当する課へ異動するというようなことも多くあるので、様々な仕事をする可能性があると言えます。

3か月も合宿研修があるんですか。手厚い制度ですね

やはり学生からいきなり社会人になるとギャップを感じて本人が辛くなってしまうこともあるので、静岡県沼津市にある研修宿泊棟にて、集合研修を行っています。社会人として必要となるビジネスマナーや社内の基礎知識を学んでもらうと同時に、同期や先輩社員と交流する過程で緩やかに社会生活に慣れることができるようにしています。

学生のうちに経験しておいてほしいことはありますか

特に「これ」といったことではないのですが、高専の学生は中学校を卒業する時点で自分のやりたいことを絞り込んでいると思います。実際に入試やコース選択の結果で、自分のやりたいことに繋がる最短の道を選ぶことができる。しかし、だからこそその「やりたいこと」に囚われてしまう節があるように思います。「これがやりたくて高専に入ってきたんだから、これだけやっていればいいんだ」って思ってしまっているような感じです。
ただ、何十年という人生の中で高専の5年は短いものです。学生のときは長いと思うかもしれないですが、高専にいる間は基礎を主に学んでいるんだと思ってください。自分の芯は大切にしつつも、自分の将来の可能性を拡げていくために自分のやりたいことだけじゃなくて、つまみぐいでもいいから、様々なことに挑戦してほしいと思います。

産技高専の学生に求めること

産技高専の学生は15歳から長い時間を掛けて専門性を高めていく、実際にものをつくって組み上げていくということをされているので、知識と実践が伴った技術者になっていると思います。5年間の長期間でゆっくりとしっかりものづくりを経験する、その良さを失わずにいてほしいと思います。
さらに加えていうと、今の時代は新しいものを創造することが大切です。これは高専生だけに限りませんが、自分が実現したい新しいアイディアを持ってほしい。そしてそれに行きつくためには一人の専門性と興味だけでは難しいので、色々な方法を探す視野や好奇心、向上心を持ってほしいですね。産技高専では、コース横断的なED授業*3をされていますが、ああいう授業を通して他の人に働きかける力、そこまでいかなくても感触みたいなものを5年間の学生生活で身に付けてほしいなと思います。

*3 ED授業・・・エンジニアリング・デザイン授業のこと。工業製品を作り出す過程における、アイデアの創出から設計、試作、評価、検討、製品化までといった、課題発見から課題解決までの能力を一連の流れの中で養成する教育のこと。

学生へのメッセージ

産技高専は実力のある学校なので、学生の皆さんも言われたことは問題なくできるし、それを可能にする技術や知識も学んでいます。その一方で、力があるからこそ何とか自分だけで解決しようと思ってしまう学生の方もいるかなと思います。先ほども言いましたが、社会に出ると自分一人だけで解決・達成できることは少ないです。自分のやりたいことを叶えるためにも、「誰か」や「何か」の協力が必要ですので、何もかも自分だけでやろうとするのではなく、誰にでも頼っていいんだということを知っておいてほしいと思います。


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