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都立高専コラム

ロボット工学はどんな学問?学習内容や学んだ後の進路先は?

「ロボット工学って、具体的に何を勉強するのだろう?」
「勉強するメリットは?」
「どんな人が向いている?」
などの疑問をお持ちではありませんか?

ロボット工学は、機械・電気・プログラミングなど幅広い分野を組み合わせた学問です。AI技術の発展とともに、今後ますます需要が高まる分野だといえます。

この記事ではロボット工学について、以下の内容を解説します。

  • ロボット工学で学ぶ具体的な内容
  • ロボット工学を学ぶメリットと将来性
  • ロボット工学を学んだ後の進路

この記事を読むことで、ロボット工学の全体像をつかみ、自分に合った進路選択ができるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

なお、東京都立産業技術高等専門学校のロボット工学コースでは、ロボット工学の知識をじっくり学べるカリキュラムを用意しています。「ロボットをテーマとしたものづくり教育」に重点を置きながら、機械系、電気・電子系、情報・制御系のスキルをバランス良く高められるのが特徴です。詳しくは、以下のサイトをご確認ください。

>>東京都立産業技術高等専門学校のロボット工学コースを確認する

ロボット工学とは

こちらでは、ロボット工学の基本的な定義と、ロボット工学が活躍する分野について説明します。

ロボット工学の基本的な定義

ロボット工学とは、機械工学・電気工学・情報工学・制御工学など、複数の工学分野を融合させた総合的な学問です。ロボットを設計・製作・制御するために必要な、幅広い知識と技術を学びます。

ロボット工学が活躍する分野

ロボット工学は、私たちの生活のさまざまな場面で活躍しています。主な活躍分野を見ていきましょう。

分野 具体的な活用例 特徴
製造業 ・自動車製造での溶接・塗装ロボット ・工場のラインを効率化し、生産性を高める
医療 ・外科手術のサポート
・細かい医療作業の支援
・正確な作業で、患者の体への負担を軽減
介護・福祉 ・高齢者の日常生活サポート
・リハビリ訓練の補助
・人手不足が深刻な介護現場で需要が増えている
宇宙開発 ・火星探査車
・惑星探査ロボット
・宇宙ステーション作業ロボット
・人が行けない環境での活動・最先端技術が集結する分野
災害対応 ・瓦礫内での被災者捜索
・原発事故現場での作業
・危険区域での調査
・人が入れない危険な場所で活躍

ロボットはいまでは産業や生活に欠かせないものとなっており、日常動作の補助や危険な作業の代行、精密作業の支援など、人が安全かつ効率的に活動するための支援を行っています。また人が行くことができない環境において調査や作業を実施するなど、従来では不可能であった役割も担っています。

さらに、少子高齢化の進行により人手不足が深刻化するなかで、労働力を補完する手段としても期待が高まっていることから、ロボットの重要性は今後ますます高まると考えられています。

「ロボット工学の3原則」を理解しよう

ロボット工学を学ぶうえで知っておきたいのが、「ロボット工学の3原則」です。これは、SF作家アイザック・アシモフ氏が自身の小説に書いた、ロボットが従うべき3つのルールです。創作でありながらも、現代のロボット工学における倫理的な指針として、今でも参考にされています。

第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条:ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条:ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

引用:早川書房『われはロボット 決定版』小尾芙佐訳

ロボットを開発する際には、人間の安全を第一に考えることが求められるのです。

また、2025年の大阪・関西万博では、Robot Friendlyプロジェクトによる、ヒトとロボットの相互関係に焦点を当てた「新ロボット3原則」の提案がなされました。

第1の約束:相互尊重ヒトとロボットは、互いの存在を尊重し、敬意をもって接する

第2の約束:社会の一員ヒトとロボットは互いに、社会のネットワークの一環として振る舞う

第3の約束:共進化ヒトとロボットは共に学び、成長し、より良い社会の実現に貢献する

引用:Robot Friendly プロジェクト 公式サイト

このように、ロボット工学では「人を傷つけない」「社会と調和して共生する」といった倫理的な視点も重視されています。では、こうした考え方を実際のロボットに落とし込むために、どのような技術分野を学ぶのでしょうか。

ロボット工学で学ぶ内容

ロボット工学では、具体的にどのような内容を学ぶのでしょうか。こちらでは、主要な5つの分野について解説します。

  • 機械工学
  • 電気電子工学
  • 情報工学
  • 制御工学
  • AI・機械学習

機械工学

機械工学は、ロボットの構造設計や、動きを生み出すメカニズムについて学びます。

主な学習内容は以下の通りです。

  • 4大力学(機械力学・材料力学・流体力学・熱力学)
  • 設計製図(ロボットの設計図を描く技術)
  • 加工技術(金属やプラスチックを加工する方法)

機械工学の知識があれば、目的に応じたロボットの形や構造を設計できるようになります。

電気電子工学

電気電子工学は、電気回路やセンサー、モーターなど、ロボットを動かすための電気的な仕組みについて学びます。

主な学習内容は以下の通りです。

  • 電気回路(電気の流れと回路設計)
  • 電子回路(トランジスタやICを使った回路)
  • センサー技術(温度、距離、光などを検知する技術)
  • アクチュエータ(モーターなどの駆動装置)

例えば、障害物との距離を測るセンサーとセンサーからの信号を処理して、モーターに適切な指令を送る回路を設計することで、ロボットが障害物を避けることができるようになります。

電気電子工学の知識は、ロボットに「感覚」と「動き」を与えるために用いられます。

情報工学

情報工学は、プログラミングやアルゴリズム、データ処理など、ロボットを制御するソフトウェアについて学びます。

主な学習内容は以下の通りです。

  • プログラミング(C言語、Pythonなど)
  • アルゴリズム(問題を解決する手順)
  • データ構造(データを効率的に扱う方法)
  • 画像処理(カメラからの映像を解析する技術)

ロボットが自律的に動くには、周囲の状況を判断して適切に行動するプログラムが必要です。カメラで撮影した映像から物体を認識したり、目的地までの最短経路を計算したりする技術も、情報工学の分野になります。

制御工学

制御工学は、ロボットを思い通りに動かすための制御理論や制御システムについて学びます。

主な学習内容は以下の通りです。

  • フィードバック制御(目標値と実際の値の差を修正する仕組み)
  • PID制御(比例・積分・微分を使った制御方法)
  • システム工学(複雑なシステム全体を最適化する方法)
  • シミュレーション技術(コンピュータ上でロボットの動きを再現する技術)

例えば、モーターの回転を細かく制御することで、ロボットアームで正確な位置に物を置くことができます。また、左右の車輪の回転速度を常に調整することで、ロボットが直進移動することができます。

制御工学の知識があれば、ロボットを高精度で安定して動かせるようになります。

AI・機械学習

AI・機械学習は、データから学習して、自ら判断・行動できるロボットを実現する技術について学ぶ最先端の分野です。

主な学習内容は以下の通りです。

  • 機械学習の基礎(データから規則性を見つける技術)
  • ニューラルネットワーク(脳の神経回路を模した学習モデル)
  • 深層学習(ディープラーニング)
  • 画像認識・音声認識技術

AI技術を使えば、ロボットが人間の顔を認識することができ、話しかけられた言葉を理解することができます。近年普及が進んでいる自動運転も、AIが周囲の状況を判断して運転する技術です。

AI・機械学習は、ロボット工学の中でも特に発展が著しい分野で、今後さらに重要性が増していきます。

ロボット工学を学ぶメリット

こちらではロボット工学を学ぶメリットを、5つの観点から解説します。

  • 将来性が高い
  • 社会課題の解決に携われる
  • 自分のアイデアを形にできる
  • AIなどの最新技術に触れられる
  • 幅広い分野の知識が身につく

将来性が高い

ロボット工学は、将来性が非常に高い分野です。少子高齢化による労働力不足や、危険な作業の自動化など、ロボットへの需要は今後ますます増えていきます。

日本機械工業連合会が発表した「2023年度ロボット産業・技術振興に関する調査研究報告書」によると、2023年~2026年の業務用サービスロボットの平均成長率は、毎年+38%と予測されています。2022年には約15万台だったロボットの販売台数が、2026年には約57万台に増える見込みです。

ロボット工学を学べば、時代に求められる専門性を身につけられます。就職先も豊富で、安定したキャリアを築きやすい分野といえるでしょう。

社会課題の解決に携われる

ロボット工学は、社会が抱えるさまざまな課題の解決に直接貢献できる分野です。自分の仕事が社会の役に立っていることを実感しやすいのが大きな魅力です。

例えば高齢化社会では、介護の担い手不足が深刻な問題になっています。介護支援ロボットを開発すれば、高齢者の自立した生活をサポートできるでしょう。

また、災害が多い日本では、危険な場所で活動できるレスキューロボットが求められています。人命救助に貢献できるロボットを作れば、多くの人の命を救える可能性が高まります。

「人の役に立つ仕事がしたい」という思いがある人にとって、ロボット工学を学ぶことは理想的な選択肢です。

自分のアイデアを形にできる

ロボット工学では、自分のアイデアを実際に動くロボットとして形にできます。設計から製作、プログラミングまで、一連のものづくりを体験できるのが大きな魅力です。

「こんなロボットがあったら便利だな」という発想を、実際に設計図に起こし、部品を組み立て、プログラムを書いて動かすことができます。試行錯誤しながら完成させたロボットが、思い通りに動いた瞬間の喜びは格別です。

創造力を発揮して、世の中にないものを生み出せるのがロボット工学の面白さです。

AIなどの最新技術に触れられる

ロボット工学を学ぶと、AIをはじめとする最新技術に日常的に触れられます。技術の最先端を体験できるのは、この分野ならではの魅力です。

現在のロボット開発には、AI・IoT(Internet of Things:モノをインターネットに接続して情報をやり取りする技術)・クラウドコンピューティング・5G通信など、最新のIT技術が活用されています。ロボット工学を学べば、これらの技術を実践的に使いこなせるようになるでしょう。

また、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を使った遠隔操作ロボットや、量子コンピューティングを応用した制御システムなど、次世代の技術開発にも関われます。

技術の進歩が速い分野なので、常に新しい知識を学び続けなくてはなりませんが、新しい技術に興味がある人や、最先端の研究開発に携わりたい人にとって、ロボット工学はうってつけの選択です。

幅広い分野の知識が身につく

ロボット工学は総合的な学問なので、機械・電気・情報・制御など、幅広い分野の知識が身につきます。1つの専門分野だけでなく、複数の分野を横断的に学べるのが特徴です。

幅広い知識があることで、将来の選択肢が広がります。ロボット開発だけでなく、自動車産業・家電メーカー・IT企業など、さまざまな業界で活躍できるでしょう。

幅広い分野で活躍できるスキルを身につけたい方に、ロボット工学はおすすめです。

ロボット工学を学んだあとの進路

ロボット工学を学んだ後は、どのような進路があるのでしょうか。以下では、代表的な3つの職種について解説します。

メーカーなどでの設計・開発職

ロボット工学を学んだ人の多くは、製造業やIT企業で設計・開発職として働きます。

例えば産業用のロボットメーカーでは、工場で使われるロボットアームや自動搬送ロボットを開発しています。自動車メーカーでは、生産ラインの自動化システムや自動運転技術の開発に携わります。

設計・開発職として、新しい技術を取り入れながら、より高性能で使いやすいロボットを生み出していきます。自分が開発したロボットが製品化され、企業等で使用されることでやりがいを感じられる仕事です。

ロボットサービスエンジニア

ロボットサービスエンジニアは、工場や施設で稼働しているロボットの保守・点検・修理を行う専門職です。ロボットの導入が増えるにつれて、需要が高まっている職種です。

主な仕事内容は、定期点検によるロボットの状態確認、故障時の原因究明と修理、性能向上のための調整などです。機械的な部分だけでなく、電気回路やプログラムの問題にも対応します。

製造業の現場では、ロボットが止まると生産ラインが停止してしまい、大きな損害につながる恐れがあります。トラブルを迅速に解決して、稼働率を維持するのがロボットサービスエンジニアの役割です。

ロボットサービスエンジニアとしての経験を積めば、現場で実践的な知識を深められるため、ロボット導入時の提案や運用改善のアドバイスを行うロボットシステムのコンサルタントのキャリアも開けます。

研究者

大学や研究機関、企業の研究所で、ロボット工学の研究者として働く道もあります。大学の研究室や企業の研究所、国の研究機関などで最先端の技術開発や、未来のロボットを実現するための基礎研究に取り組みます。

研究者になるには、大学院に進学して修士課程や博士課程で専門性を深める必要があり、高い専門知識と研究能力が求められますが、未来の技術を創造できるやりがいのある仕事です。

ロボットなどの実践的工学技術に繋がる科目を学習できる東京都立産業技術高等専門学校

ロボット工学は、機械・電気・情報・制御・AIなど、幅広い分野を総合的に学ぶ学問です。将来性が高く、社会課題の解決に貢献できるため、ものづくりが好きな方にとって魅力的な分野だといえます。

東京都立産業技術高等専門学校のロボット工学コースでは、「ロボットをテーマとしたものづくり教育」に重点を置きながら、機械系、電気・電子系、情報・制御系の技術をバランス良く学べます。自走ロボットの製作(制御実習)や受動二足歩行ロボットの製作(部品加工・機械組立実習)など、実践的な学習に力を入れているのも特徴です。

卒業後はメーカーやIT企業に就職したり、大学に進学してさらに学びを深めたりと、様々な進路を選べます。ロボット工学に興味があり、スキルを身につけたいと考えている方は、以下のサイトを参考にしてみてください。

>>東京都立産業技術高等専門学校のロボット工学コースを確認する