平成29年度 中軽米さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:生産システム工学コース 中軽米さん

5年 生産システム工学コース 品川キャンパス
中軽米さん
サッカー部、写真部、バレー部所属
東京都出身

入学前に産技高専を知ったきっかけは何ですか

中学校のころ所属していたバスケットボール部の顧問だった先生に紹介してもらいました。中学二年生のころ、普通に高校に行って、普通の大学生になることに漠然とした不安がありました。当時は大学に行ったら、遊んでしまうんじゃないかなと思っていて、それなら早く自立して社会で活躍したいなと考えていました。そういうことを相談していたら、早くから専門的なことを勉強できて、就職実績も良いということで産技高専を紹介してくれました。
紹介されるまでは、工業高校や総合学科がある高校への進学を検討していたんですが、産技高専の学校見学会*1に参加したら、「すごくいいな」と思ったので、産技高専を志望しました。

*1 学校見学会・・・本校では本校をより理解していただくため、中学生の方向けにイベントを開催しています。詳しくはこちら

入学したら何をしたいと思っていましたか

金属加工をやってみたいと思っていました!
中学校のころ、技術の先生に教わりながら、音を鳴らすと光るランプを基盤からつくったことがあって、金属って面白いなと思っていました。ただ、中学校の授業で、木工作はよくあったんですが、金属を触ることがあまりなく、産技高専のHPをみると、金属加工の授業があると書いてあって、楽しみにしていました。実際に一年生の最初の方で金属加工の授業があって、すぐに夢は叶いました。
他には、遊びと勉強を両立した学生生活を送りたいと思っていました。大変でしたけど、その分充実した学生生活だったなと今になって思います。

入学後に、入学前と比べてギャップを感じましたか

パソコンや電気のことを勉強するというイメージだったので、大人しくて、ちょっと暗い人が多いのかなと思っていました。私はそんなにパソコンとかも詳しくないし、女の子も少ないらしいし、入学してから周りから浮いちゃったり、合わなかったりしたらどうしようかなと不安に思っていました。でも、実際に入学してみたら、良い意味で普通の子が多くて、女子も明るい子が多かったのでよかったです。入学して同級生と話してみたら、同じように不安に思っていた人も結構いましたね。

女性で高専に入学することに不安はなかったですか

5年間あるので、他の女子と仲良くなれなかったらどうしようと不安でした。入ってみたら、自分と雰囲気は似ているけど、ユニークな人が多くて面白かったです。産技高専は同じような趣向がある人が集まるような気がします。

中学生のころはどんな中学生でしたか

都立産業技術高専 学生インタビュー:生産システム工学コース 中軽米さん

3年間生徒会で副会長をしていたのと、指導の厳しいバスケ部にも入っていたので、成績表には「模範的な生徒」と書かれていましたが、数学以外の成績はそんなによくなかったですね。

産技高専の校風はどんな感じですか

「自由」の一言です。積極的に何かやりたいことがあればそれを応援してくれます。例えば、私はハイヒールが好きで、学校にある3Dプリンターを使ってハイヒールをつくってみたいなとそれとなく先生に言ったことがあるんですが、先生は「やってみなよ!」と言って背中を押してくれます。小さいアイディアでも「せっかく施設や機材が揃っているんだからやってみなよ!」と言って自由にさせてくれます。2年生になって、コースに入ってからは特に良く言われるようになりました。
あとは、入学時から4つくらい歳上の人と接しているせいか、大人っぽい人が多いような気がします。

今までの学校生活で一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください

製図のテストで満点を取れたことです。生産システム工学コースの授業で、3DCAD*2を使った製図のテストがあったのですが、そのテストで自分が満足いくものを作って、満点を取ることができました。実は1年生のころに受けた製図の授業では、納得のいくものが作れず、先生にも酷評をされて、とても悔しい思いをしました。その分、満点を取ったときは嬉しくて、一週間くらいずっと嬉しかったです。その後は、CAD*3の時間で他の同級生に頼りにされるようになったのも嬉しかったですね。製図の授業が楽しくなりました。この頃から将来はデザインや設計がやりたいって思うようになりました。

*2 3DCAD・・・工業製品や建築物の設計・製図を行うCADの種類の一つで、造形物を立体的に表示・編集して作図を行うもののこと。
*3 CAD・・・コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツールのこと(CADシステム)。

逆に一番辛かったこと、悔しかったことを教えてください

デザインコンペ*4の作品づくりでの経験が悔しかったです。「安心・安全」というテーマがあって、それに関する作品づくりに4人くらいのグループで取り組むんですが、メンバーそれぞれのやり方が合わず、衝突していました。結局、グループは空中分解してしまって、個人で取り組むことになり、私は祖父の介護を通して、非力な人でも簡単に使えるペットボトルオープナーをつくることにしました。「絶対にいいものをつくってやる」と思っていたのですが、期間もあまり残っていなくて、作品を提出できませんでした。グループ内での衝突や作品を完成できなかったことも悔しかったのですが、元メンバーの一人が優秀賞を受賞して、本当に悔しい思いをしました。

*4 全国高等専門学校デザインコンペティション・・・各高専で養い培われた学力、デザイン力の成果を基として作品を作成し競いあうことにより,普段の高専内での学習だけでは得ることが出来ない,高いレベルでの刺激を互いに与えあうことを目的とした大会のこと。

2年次でのコース選択は迷いましたか

入学する前に参加した学校見学会等でCADを紹介してもらって、いいなと思っていたので、実際にコース選択の際にはCADを使った授業が多い生産システム工学コースに決めました。他のコースについては、小学生のころの実験で軽く感電したことがあって、電気系に行くのはやめようと思っていたし、電子情報工学コースも1年生のころに受けた関連授業で、自分には合わないなと思ったので、やめました。唯一、機械システム工学コースと生産システム工学コースで迷いましたが、設計のことについてもっと学びたいなと思ったので、生産システム工学コースにしました。

所属するコースの特徴を教えてください

製品の一生について学ぶことができるコースだと思います。ものづくりにはデザインからメンテナンスまでの工程があると思っているのですが、その全工程についての知識を学ぶことができるコースだと思います。デザインの授業もあるし、生産管理の授業や、加工・設計の授業もあります。就職活動でも、設計もメンテナンスも両方できるので、選択肢が多かったです。

このコースで過ごしていて、良かったことや悪かったことはありますか

よかったことは、自分の学びたいことが学べたことです。技術者として必要な知識を得ることができました。 だめだったことは特に思い浮かびませんでした。本当にこのコースが自分に合っていたと思います。

面白いと思った授業はありますか

都立産業技術高専 学生インタビュー:生産システム工学コース 中軽米さん

1つ目はインダストリアルデザインです。他の授業とは違って、ビデオや手を動かして授業を受けるため楽しみながら大切なことを学べます。座学ですけど、手を動かすことが多いですね。黄金比を実際に描いてみたりもします。今はブランドについての授業をしていて、自分の好きなブランドについて調べています。
2つ目は実験実習です。実際に加工をしてものづくりをするので、楽しいです。自分がつくったものを見ると、達成感がすごいですね。今でも自分の机に飾っています。例えば、1年生のときにコマをつくって、2年生のときにそのコマ用のコマ台をつくりました。4年生のときには自分で写真立てをつくるという計画から作成までしました。高学年になるほど自分がつくりたいものをつくれるようになります。

今の研究内容について教えてください

微小振動振幅における摩耗(フレッチング摩耗)について研究しています。例えば、自動車のサスペンション部分などで金属同士が微小な振動でこすり合ったとき、どれぐらいフレッチング摩耗が進んだら危険なのかといった指標を見つけ出して、事故や不具合を減らすことを目的とした研究をしています。

卒業後の進路に就職を選んだ理由は何ですか

早くから社会で経験を積んで、多くの技術を見に付けたいと思ったからです。それに大学へ進学してしまうと、せっかくものづくりを学んだのに、就職活動の際、一大学生として扱われてしまうんじゃないかなと思ったからです。高専で就職活動をすると、自分の興味のある業界へ行きやすいと考えました。

就職先でやりたいことはありますか

「設計者として自分が携わったものを街中で見かけて喜ぶ」というのが目標です。車関係の設計会社へ就職するのですが、街中を走っている車を見て「あの車、私が一部設計したんだ」って思いたいですね。達成感がすごいと思います。そのために小さな仕事も大きな仕事も頑張りたいです。

産技高専を志望する方へのメッセージ

女性でも高専は楽しいです。工学って男性のイメージが強いけれど、そういうイメージや固定観念に負けないで高専に来てよかったです。自分のやりたいこと、興味あることができる高校選びができたら、良い高校生活が送れると思うので、やりたいことが産技高専にあると思ったら、ぜひ来て欲しいと思います。


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