ゼブラ株式会社

ゼブラ株式会社:深尾さま
 

ゼブラ株式会社
深尾さま

平成30年7月インタビュー

ゼブラ株式会社は、明治30年(1897年)に創業し、「マッキー」「サラサクリップ」などのロングセラー商品を代表とする筆記具メーカーです。筆記具の研究から開発、製造、販売までを一貫して行っており、国内に留まらず世界100ヶ国以上の国にゼブラの商品を届けておられます。今回は新卒採用全般と内定者の方のフォローを担当されている深尾さまに企業のことや学生に向けてのメッセージを伺いました。

ゼブラ株式会社について教えてください

ゼブラ

神楽坂にある現在の本社と同じ場所で121年前に創業し、日本で初めて鋼のペン先の製造に成功し、販売を始めました。戦後十数年が経ってからボールペン市場に進出し、時代の潮流に合わせて人々に求められる多種多様な「筆記具」を生み出し続けました。
社の顔ともいえるゼブラ(しまうま)は、外敵から身を守るために常に群れで行動し、協力し合う温和な動物とされています。このゼブラのように全社員が一致団結して筆記具の製造に邁進することを願ってゼブラという社名がつけられました。

恥ずかしながら筆記具メーカーではなく文具メーカーだと思っていました・・・

弊社は筆記具一筋で発展してきた企業です。シャープペンシルのノック部分にある消しゴム等は自社では製造せず、他のメーカーから購入しています。
日本の文化や識字率の高さ、日本人の書くことへの興味関心の高さから、弊社だけに限らず日本の筆記具の技術は世界でトップレベルです。国内にいくつもの筆記具メーカーを有するのも日本くらいで、その中の一企業として、国内外に筆記具ビジネスを展開しています。

海外でも展開されているんですか

100か国以上で展開しており、国や地域によってお客様が求めるものは異なります。海外では安価で最後まできちんと書けるものが好まれる傾向にあり、例えばシャープペンシルとボールペンが一体になっている多機能筆記具はあまり売れません。笑 逆に国内では、少し値段が高くても付加価値のあるものが好まれることが多いので、その需要に合わせた商品をそれぞれ販売しています。売上比率では国内6割:海外4割といったところで、それに伴って社員も海外で働く機会が増えていますね。

お客様に求められた機能は例えばどのようなものがあるのでしょうか

例えば、役所などに置いてある書類記入用の透明軸のボールペンは弊社が開発しました。中の芯が見えるボールペンで、「インクの残量がわかる」商品です。他にも、太字と細字の両方を一つのペン(油性マーカー)で書くことができる機能を「マッキー」で採用しました。これも筆記具メーカーでは初の試みです。両方とも今では当たり前の機能ですが、時代に合わせて本当に人が求めている新しい筆記具を開発してきました。

本社一階の展示コーナー

本校の卒業生もその一端を担っているのでしょうか

そうですね。高専卒の社員には、工場の機械設備の開発から生産ラインの設計、筆記具の機構開発、製品設計、商品開発まで幅広い分野で学んできた知識と経験を活かしてもらっています。一番多く配属されるのは工場ですが、機構開発や商品開発に配属される社員もいます。
産技高専の生産システム工学コースを卒業し、現在入社三年目の社員は商品開発部で「サラサシリーズ」を担当しています。高専で専門的に学んだことを直接活かせないマーケティングの仕事で初めは戸惑ったようですが、積極的に先輩とコミュニケーションをとりながら一つひとつの業務に取り組んでいきました。
「最初はマーケティングのことは全くわからなかったけれど、今では商品開発の仕事にやりがいを感じている。」と言ってくれています。

入社すると様々な業務を担当する可能性があるということでしょうか

ゼブラでは、ジョブローテーション制度を導入していますので可能性はあります。
これは社長の考え方でもあるのですが、自分が何に適しているのか。自分の能力がどこにあるのかはやってみないとわからないと思います。ジョブローテーションをきっかけに、自分の潜在能力を引き出してもらいたいと思っています。

本校の学生について印象を率直に教えてください

ゼブラ株式会社:深尾さま

中学校で周りのクラスメートとは異なり、普通高校ではなくて高専を選択しているというところからも伺えますが、自分の軸をきちんと持っている人が多いと思います。自分がやりたいことを考えて進学していて、覚悟があり、良い意味で芯があると思います。また、学校生活はのびのびしているけれど、勉強はしっかりするというオンとオフを使い分けている人が多い気がしますね。

産技高専の学生は貴社で即戦力として活躍できているでしょうか

とても活躍しています。産技高専の学生の採用面接にペンの機構を開発している部署の役職者が出席していたのですが、面接後に「彼には今すぐにでも来てほしい」と言っていたことがありました。やはり産技高専ではCADを利用するなど、実際に手を動かしてものづくりを行っているので、その経験が評価されていると思います。実際にその経験と技術があるのが高専生の強みであり、それを活かしてゼブラでも活躍しています。

産技高専の学生に求めること

ゼブラ株式会社:深尾さま

学んできた知識が必ずしも仕事に直結するとは限りません。自分がやりたいことに熱意を持って押し進むということは大切ではありますが、新たなことに挑戦する意欲と姿勢も社会に出て必要なことだと思います。社会人人生は40年以上と長く、何が起こるかわからないですし、必ずしも自分の理想通りにことが運ぶとは限りません。そのようなときにも、その場その場で考えて臨機応変に対応していく必要があります。特に高専生の方は今までの学びを活かしたいという気持ちが強いと思いますが、柔軟に、前向きに働いていただきたいと思います。

コミュニケーション能力はやはり重要でしょうか

そうですね。どのような業務でも、仕事は一人では成り立たず、チームワークで進めていくものですので、コミュニケーション能力や相手目線に立って考えることは必要になります。しかし、“コミュニケーション能力=人と話を上手にできる能力”ではないと思っています。「人との約束を守る」や、「うそをつかない」など、“人との信頼関係を築く行動ができる能力”がコミュニケーション能力だと思います。そういうことを大切に思える人にゼブラとしても来てほしいと思います。

企業の夢や展望について教えてください

ゼブラ株式会社

事業を多角化するのではなく筆記具専業の会社として、痒いところに手が届くような商品を世界中のお客様にお届けする会社でありたいと考えています。小粒だけれど、ピリリと辛みがあって存在感のある会社と言った感じですね。
スマートフォンやタブレットなどデジタルの分野で技術革新があり、筆記具はこれからどうなるのでしょうかという質問を学生の方からいただくこともあります。しかし、筆記具は書くものさえあれば、電気がなくても、どこでも使用ができるもので、インフラが発達していない地域や災害時も使っていただけます。また、今もそうですがインタビューでメモを取る時にも使用していただき、様々な状況や場所で“人と人とのコミュニケ―ション”を支えるツールであると考えています。
また、書くことが脳に与える影響も研究しており、脳科学でも筆記具の将来性を探っています。デジタルの技術が発展しても、筆記具がその時代で求められている役割、そしてそれを実現する機能を追求していきたいと考えています。


▲Top