荒川キャンパス情報通信工学コース 鈴木達夫准教授の研究「画期的な水分解光触媒の理論的提案:リン化ホウ素の単原子層膜」を紹介します!

荒川キャンパス情報通信工学コース 鈴木達夫准教授の研究を紹介します!

「画期的な水分解光触媒の理論的提案:リン化ホウ素の単原子層膜」

 化石燃料や原子力エネルギーに代わる、クリーンでサスティナブルなエネルギー資源として、水分解光触媒を用いた水素生成が注目されています。光触媒とは、光を当てるだけで、水を水素と酸素に分解することのできる物質です。光触媒を用いた水素生成システムは、太陽電池や風力発電などと電気分解を結合したシステムよりも、はるかにシンプルで、安価であり、そして、大規模な展開が容易です。しかし、現状では、光触媒による水素生成は、エネルギー効率が良くありません。
 本校の鈴木達夫准教授は、HSE06汎関数を用いた大規模かつ高精度な密度汎関数計算を実施することで、安定な高効率の光触媒として、リン化ホウ素(boron phosphide)の単原子層膜が有力であることを発見しました。リン化ホウ素の単原子層膜は、約1.4eVのエネルギーギャップの直接遷移型半導体であり、約890nm未満の波長の太陽光(紫外線、可視光、近赤外光)を吸収し、適切なpH条件下で、水から水素ガスと酸素ガスの両方を生成します。リン化ホウ素の単原子層膜により、水素化社会の実現が期待されます。
 

この研究成果は、学術雑誌 Applied Surface Science にて、2022年6月2日に公表されました。
Tatsuo Suzuki, Applied Surface Science 598, 153844 (2022); https://doi.org/10.1016/j.apsusc.2022.153844




 

図1:リン化ホウ素の単原子層膜による水分解の概要図


 

 

図2:計算により得られたエネルギーギャップ

 

 

図3:ポテンシャル、電荷密度、及び、エネルギーバンド端
 


 

図4:(左図)エネルギーバンド (右図)エネルギーバンド端と酸化還元電位のpH依存性


 

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