令和5年度学生インタビュー 山内さん

本科5年 医療福祉工学コース
荒川キャンパス
ロボット研究同好会
山内さん

入学前に産技高専を知ったきっかけは何でしたか?

中学生の時に、PTA主催の進学説明会があり、そのときに母親が高専について知りました。
私自身幼いころからモノを作ることが好きで、中学生時代は特に航空機に興味がありました。航空機に興味があるのなら、航空宇宙工学コースのある産技高専荒川キャンパスがいいのではないかと進学を勧められました。

高専と聞いてどう感じました?

聞きなじみがなかったため、第一印象は「なんだこれ」と思いました。何も知らなかったので工科高校と同じだと思っていました。

産技高専に入学することを決めた理由は何ですか?

航空機に興味があり、航空宇宙工学コースに入りたかったため高専に入学することを決めました。

なぜ航空機に興味を持ちましたか?

オスプレイの墜落事故があり、もっと安全な航空機を作ることができるのではないかと感じていました。安全な航空機を作ることができれば、離れた小さな島に多くのものを運んだり、急病人を搬送することができるようになったりと、人々を救えると思ったからです。

入学したら何をしたいと思っていましたか?

高専ロボコンや鳥人間コンテストに挑戦してみたかったです。
他には民謡研究部に入って、軽音楽をやってみたかったですが、なかなかうまく楽器が演奏できず結局やりませんでした(笑)。ロボットなどのメカ系の技術を高めたかったため、ロボコンをやり始めました。ロボットには入学前に足立区のロボット教室に行ったことがあり、身近に感じていました。この経験も高専を選ぶきっかけになりました。

入学して、入学前に描いていた産技高専像とギャップはありましたか?

高専入学前はオタクが多いと聞いていました。中学2年生の時に高専祭に行ったときに、アニメが好きな学生がいたので、高専全体にも多いのかなと思っていました。しかし、入学してみるとそうでもなかったです。それぞれみんな好きなものがありますが、ステレオタイプのオタクはいませんでした。
ものづくりに限らず好きなものに熱中しているので、そういう意味ではオタクなのかもしれません。

中学生の頃はどんな中学生でしたか?

ものづくりに興味はありましたが、当時はレゴでロボットを作る程度でした。材料や機械がないからできなかったし、アイディアがあっても知識がなかったので実現はできませんでした。でもプラモデルが好きで、特にガンダムのプラモデルを作っていました。
勉強面では中学2年生の時に中だるみをしましたが、1年生、3年生のときはよくやった方だと思います。満遍なく点数が取れるタイプで、数学や理科には抵抗はなかったです。

校風はどんな感じか教えてください。

よくも悪くも「自由」。ロボコンをやってもいいし、鳥人間コンテストに打ち込んでもいいし、どちらにも取り組んでもよい。また、私自身マルチメディア研究同好会にも入って、イラストやゲームを作っているところに入ってもよい。勉強をしなくても、特に単位を落とさなければいい。ある程度自由だからこそ自分を律する必要がありますが、やろうがやらまいが自由。自分をしっかりコントロールすることができれば、ものづくりや勉強がやりやすい場所なのではないかと思います。その分単位をしっかりとって進級をしなければいけないです。

産技高専での生活を振り返って、一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください。

ロボコンの大会で、前日のテストランでダメ出しをもらって、そのダメ出しを一晩でリカバリーしたことを評価していただけたことです。取り組んだことが報われた感じがしてうれしかったです。チームメンバーをまとめるのに苦戦して、反省することが多かったのですが、そうはいっても嬉しかったです。機械班が自分を含め3名で、自分以外が遠方に住んでいたので、思うように時間を取って作業ができなかったです。また設計変更があり、対応することが大変で先輩を頼ればよかったなという反省もあります。しかし、人との関わりを学べたし、のちに生かせるものも得られたと思います。

思い入れの品


▲高専生活で使用したパソコン
 
 

産技高専での生活を振り返って、一番つらかったこと、悔しかったことを教えてください。

高専ロボコンに出場するまでの作業ですね。
特にリーダーを担当したときはあまり上手くメンバーに仕事を振ることができなくて、思うようにロボットが完成しなかったので悔しかったです。当時の1年生が4チーム目として出場していて、そのチームはうまくやっていたので、比較をしてしまい、「どうしてうまくできないのだろう」とプレッシャーに感じてしまいました。当時の担当の先生、先輩、同期、後輩に助けられて、この時は乗り切りました。もう少し自分の力で何とかしてみたかったです…

2年次のコース選択は難しかったですか?また、今のコースに決めた要因や理由は何ですか?

1年生から2年生になる過程で心変わりをしました。オスプレイの墜落事故がきっかけで高専入学を決めましたが、よく調べてみるとその事故はヒューマンエラーが原因だったみたいです。もっとわかりやすい操作をするにはどうすればよいのかを考えてみたくなり、その結果医療福祉工学コースを選択しました。医療福祉工学コースでは機械系と電気系をどちらもできるのが魅力的にも見えました。

このコースにはどういった特徴があると思いますか。

機械系や電気系といった幅広いことを学べる点が特徴です。医療福祉工学は先端系にあたるもので、その基礎には機械系や電気系に関する知識、基礎工学分野があります。基礎工学分野を学んで未来に近づけるコースかなと思いました。また先端分野に医療や福祉の分野で切り込むのが、医療福祉工学コースなのではと思います。「人が使いやすくするには」と考えさせられる授業もあり、「人に寄り添う学問」だと思います。

このコースに所属して、よかったこと、わるかったことについて教えてください。

よかったことは広い分野の勉強ができることです。どの分野にも応用が利くような知識を得ることができました。悪かったことは特にないです。合う先生、合わない先生はいますが、医療福祉工学コースの先生に不満はありません。クラスメートもいい人が多いです。大学編入の勉強の時にクラスメートにとても助けられました。総じてこのコースに所属して悪かったことはなかったです。

面白い授業やおすすめの授業などを教えてください。

5年生前期に受けた「福祉環境工学」です。福祉という言葉のイメージが変わった授業です。福祉は障害を持った方や、高齢の方だけの言葉ではなく、地球に住むすべての人に適応できる言葉だというイメージが持てるようになりました。この授業は生活環境をどうやってよくしていくかをテーマに進んでいきました。例えば都会だと人と人との距離が遠く、所属外の人と関わることが少なく、孤独なのではと思われています。だから学校や職場以外の第3の場所を作るにはどうすればよいか、最終的にはNPO法人を考えてみましょうというのがゴールでした。私個人の福祉に対する意識が変わった授業でした。ものづくりベースではなく、ユーザーベースで考える機会になりました。

先生の指導は丁寧だと思いますか?何か具体的にあれば教えてください。

ほとんどの先生が丁寧な指導をしてくださいます。
私の話ではないですが、大学編入するクラスメートが先生に相談に行った際に、物理や材料力学の問題集を探して貸してくれたそうです。授業外のことに対しても丁寧に接してくれます。やる気のある人にはしっかりやってくれたりするし、やる気がなくても救済してくれたりします(笑)。レポートでは理論がある考えならば、ちゃんと評価してくれます。やればやるほど評価してくださるので、やればやるほどやる気が出ます。

研究内容はどういったものですか?

手術で使われる鉗子(かんし)という手術器具について研究しています。それに荷重や圧力などを検知できるセンサーを付けることを目的としています。
鉗子は使用する過程でねじる動作をしてはいけません。無理な力がかかると壊れてしまう可能性があるからです。操作に慣れてうまい人だったら壊してしまうことはないかもしれませんが、慣れていない人は壊してしまうかもしれません。トレーニングの段階で鉗子が壊れることによっておこる医療事故を未然に防ぐことを目指して研究しています。作った器具で手術のうまい人の力加減などのデータを取り、トレーニングを受けている人と比較をすることで医療技術の向上につながるのではないかと考えています。


 

進学を進路として選んだ理由は何ですか?

人間型のロボットに興味がありいろいろ調べていると、既存の機械だとモーターやアクチュエーター、センサーに限界があることがわかりました。それだったら人体や生物の体に近いバイオエンジニアリングを極めたら、既存の機械の限界を解決できるのではないかという希望をもって大学でも学びたいと思い始めました。高専で興味が変わったように、大学に行ったらまた興味が広がったり、変わったりするかもしれません。
また、ロボコンの先輩に「もっと高専の外とも交流を持った方がいい」と聞いたことがあり、それも進学のきっかけになりました。

進学先でやりたいことは何ですか?

まずは勉強に打ち込みたいです。やりたい学問、勉強があって大学に行くので頑張りたいです。また、学部1年生から勉強している人達との研究室の争奪戦に勝ちたいですね。
勉強以外ではサークル活動に参加してみたいです。運動不足になってしまいそうなので、ランニングサークルに入ったり、ゲームのアイドルマスターが好きなのでアイドルマスター同好会もいいなと思ったりしています。
不安なこともありますが、興味の幅が比較的広いと思うので、何をやるにしても楽しみたいと思っています。

後輩や高専を志望する生徒へのメッセージをお願いします。

高専に入ったのなら、作りたいものを一つは持ってほしいです。実際に作らなくてもいいですが、自分がこれまで勉強したことで、作りたいものを実現できるのか、というある種のマイルストーンになり、モチベーションが上がると思います。目標をもって勉強することで将来の選択しも広がるのではないのでしょうか。そうすれば高専生活が楽しくなると思います。ものづくりを楽しく考えていってほしいなと思います。

あなたにとって産技高専とは?

『未来に近づける場所』
高専はやり方次第では最先端に触れられる場所だと思います。未来につながるかもしれない技術に触れられて、未来に役立つものを作れるかもしれない、そういう意味で未来に近づける場所だと思います。手を動かせる人を育成する場所なので、高校や大学よりも未来をより身近に感じられるかもしれません。

 

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