令和5年度学生インタビュー 石橋さん

専攻科2年 航空宇宙工学コース
荒川キャンパス
石橋さん

産技高専を知ったきっかけは何でしたか?

母方の家族に高専卒業生が多く、叔父が都立高専の卒業生だったので、高専は身近でした。中学時代に理系科目が得意で、文系科目よりも好きだったので高専を選びました。でもなぜか中学時代は水泳部に所属していて、人生で一番運動をしていた時期でした(笑)。
荒川キャンパスを選んだ理由は、飛行機が好きで航空宇宙工学コースがいいなと思ったからです。

専攻科に入学することを決めた理由は何ですか?

本科でやっていた研究を続けることができたからです。もともと航空機設計開発に携わりたかったので大学院まで行こうと考えていました。

他の大学への進学や就職は検討しませんでしたか?またその理由は何でしょうか?

大学院進学のため、大学への編入または専攻科への進学を目指していました。大学編入の場合と比較して、専攻科の場合は研究を継続できるところに魅力を感じました。また、高専の荒川キャンパスは秋葉原や浅草、東京スカイツリーが近いので周りの環境がいいと思います。専攻科1年生の時には東京スカイツリーの水族館の年間パスポートを買って、水族館でプログラミングを書いたりしていました。また、放課後に秋葉原に行って電気部品などを買えるのがとても便利でした。「こういう電気部品を使ったらうまくいくかも」とか実地で考えることができました。

どんな目標をもって専攻科へ入学しましたか?

大学院に行けるくらいの勉強、研究をしようという目標をもっていました。結果として大学院に合格し、研究面でも国際会議で発表できるくらいの成果を得ることができ、大学院に進学してもやっていけそうだという自信に繋がりました。プライベートでは旅行が好きなのでたくさん旅行に行こうと思っていました。また、同人誌を作ったり、飛行ロボコンの反省レポートを書いたりと創作活動をしたいなと考えていました。

専攻科に入学して、思っていた専攻科像とギャップはありましたか?

一番大きいのはもっと勉強詰めになるかと思っていました。大学編入をした友人の話では単位の都合があってたくさん授業を取っているようでしたが、専攻科ではそのようなことはなく研究や勉強、趣味に費やす時間がたくさんできました。専攻科1年生のうちに必要な単位を余裕を持ってすべてとることもできます。

本科とはどう違うか教えてください。

授業の量はもちろん、内容も違います。座学と実習の中間のような授業があり、実習でやった内容と座学でやった内容を組み合わせて考える、問題解決能力を養う授業がありました。また、自分の研究を発表する機会が多く、本科の時よりも増えました。

専攻科での生活を振り返って、一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください。

実験で得られたデータが、自分で考えた仮説と良い一致を示したときが嬉しいですね。また、ものづくりをすることが好きなので、何かを作って、作り上げた時が嬉しいし、楽しいとも思っていました。ものづくりは作っているときは辛いけど、できた一瞬は嬉しいです(笑)。
旅行も楽しかったです。見たことがない景色を見るのが好きなので、旅行に行く時間が十分にありとても充実した生活を満喫できました。

専攻科での生活を振り返って、一番つらかったこと、悔しかったことを教えてください。

あまり辛かったことや悔しかったことはないです。ただ、ものを作るのは好きですが、単に勉強するのが苦手なので院試勉強が辛かったです。あと、強いて言えば国際会議での発表で海外に行った際に英語がほとんど分からず、悔しい思いをしました(笑)。この悔しさは大学院進学後の国際会議での発表でリベンジしたいと思います(笑)。
 

今のコースに決めた理由を教えてください。また、このコースの特徴はどういったものでしょうか。

本科では航空宇宙工学コースでしたが、専攻科での学位的には機械工学になるので、機械工学コースになりました。航空工学は大雑把にいうと機械工学の中の一分野だと思います。
機械工学コースは実物が想像しやすいジャンルの学問、コースです。問題となる現象を想像しやすくわかりやすいことが特徴かなと思います。

このコースに所属してよかったこと、悪かったことについて教えてください。

機械の授業が好きだったのでよかったです。航空宇宙工学コースから機械に行くと単位の振替がしやすかった気がします。また、少人数で和気あいあいとしているので雰囲気がよくよかったと思います。みんなでご飯を食べに行くなどもたまにあるので楽しいです。
悪かったことは特にないです。産技高専時代を通してもないですね。ここにいなかった人生を想像できないです。

面白い授業やおすすめの授業などを教えてください。

専攻科の中ではエンジニアリングデザインが面白かったです。専攻科1年生の必修でやりました。これは主に医工連携による現場が抱える問題解決をテーマとして行う授業です。年によって課題は若干異なりますが、自分たちは老人ホームや医療従事者に聞き込みをして、問題を解決する新しいプロダクトを作るということをやりました。聞き込みをした結果見つかる問題点が毎年違うので、毎年違うプロダクトが出来上がります。実際の問題の根幹にはどのような原因があるのかを考える、その考え方、課題解決のプロセスを学びました。私は航空工作部でコンセプトに対するものづくりをやっていたので、経験したことがあるプロセスではありましたが、意外に経験をしたことがない人もいたので、重要な授業だと思います。

先生の指導は丁寧だと思いますか?何か具体的にあれば教えてください。

先生方は本科も受け持っているので、何もしないと忘れ去られてしまいます(笑)
自分から動けばいろいろ教えてくれるので、積極的に気になることを聞きに行くのが大切です。

研究内容はどういったものですか?またそれを研究している理由は?

目に見えない空気の流れを可視化(見える化)する、流体分野の研究をしています。例えば飛行機を作るうえで、現在は数値シミュレーションをもとに衝撃波の影響が評価されているのが一般的です。しかし、このシミュレーションが本当に現実の現象を再現できているか、実験をしてシミュレーションの正当性を確認しなければなりません。このために新しい流れの可視化の技術が必要です.
従来使われている可視化技術は主に実験室規模に適していて、本物の飛行機のような大きなものの流れを室外で可視化することに対しては現実的ではない部分があります。これを解消するために実験装置を簡素化し、定量的に可視化できるような改善に取り組んでいます。一般に市販されているデジカメを用いて、空気の流れという目に見えない現象を見ることができるようになるというのがこの研究の面白い点です。

進学を進路として選んだ理由は何ですか?

修士以上で就職をしないと設計開発ができない企業が多いからです。また、工学分野だと大学院まで行く人が多く、理系の研究では大学院まで行かないとつまらないのではないのかなと思います。

進学先でやりたいことはどういったことですか?

研究を続けていきたいです。進学先の大学は早い段階から今の研究テーマに近い分野に取り組まれている先生がいらっしゃるので、その研究についてもっと学びたいです。また真面目に勉強をしつつ、旅行をしたり本を書いたりと趣味も頑張っていきたいです。

後輩や専攻科を志望する生徒へのメッセージをお願いします。

今中学生で、早く工学系分野の勉強をしたいと思っているような人は産技高専に来たら楽しく過ごせると思います。
専攻科に関しては、本科で自分の研究室の研究を続けたい気があるならおすすめです。また、比較的心に余裕を持って大学院の受験準備ができる点もとても良かったです。専攻科進学や大学院進学を見据えて、他大学の先生と連携している先生の研究室を選んで見るのもよいかもしれません。あくまで自分の経験ですが、JAXAや都立大日野キャンパスでの超音速風洞を使った実験はすごく面白かったし、得られるものも多かったです。他の大学も見学してみて、やっぱり高専がいいなと思ったのなら来て損はないです。いろいろありますが、やっぱり楽しいというのは事実なので(笑)。

あなたにとって産技高専とは?

『遊び場』
初めて部室に行ったとき、先輩は1人でもくもくと作業していて特に何もしてくれなかったのを覚えています。それは不親切なわけじゃなくて、自分のやりたいことを好きにやったらいいと思っていたからでした。その経験が印象的で、自分で考えて進めていっていいんだと思えました。そのときの印象が今の研究への取り組み姿勢にも反映されているように思います(笑)。自由にやっていいことも、実際にこの学校だからできることも多かったので、研究の場というよりは遊び場という印象が強いです。
 

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