富士通株式会社(令和2年11月オンラインインタビュー)

富士通株式会社 兵頭様 大井様






富士通株式会社は、ICT(Information and Communication Technology)サービス市場で国内No.1、世界でもNo.7の売上高を記録するテクノロジーをベースとしたグローバルICT企業として世界各国、幅広い分野でビジネスを展開されています。

今回は、これまで本校の運営協力者としてご活躍いただき、現在、主に通信キャリア関連企業をお客様に持つ部門の事業戦略・人材戦略の立案をご担当されている兵頭さまと、主に理工系出身の採用やグループ会社の採用をご担当されている大井さまに会社のことや学生に向けてのメッセージを伺いました。









 

富士通株式会社について教えてください。

テクノロジーをベースとしたグローバルICT(Information and Communication Technology)企業として、幅広い領域のプロダクト・サービス・ソリューションを提供し、約129,600人の社員が世界180ヵ国以上で、B to Bのビジネスを中心に、企業・行政といった幅広いお客様をサポートしています。

 


■Zinrai
富士通が提供するAIプラットフォームサービスで、多様なAI機能やディープラーニング機能を提供します。語源は「疾風迅雷(すばやくはげしいこと)」で「人の判断・行動を“スピーディ”にサポートすることで、企業・社会の変革を“ダイナミック“に実現する」という想いが込められています。

■富岳
理化学研究所と共同で開発したスーパーコンピューターです。2020年6月に行なわれた計算速度を競う世界ランキングで首位を獲得、続く11月のランキングでも首位となり、2期連続で世界1位を達成しています。広く普及して誰でも使いやすいということを目指して開発されており、今後、世界中の様々な社会課題解決への貢献が期待されています。

 

本校の卒業生はどのように活躍していますか。

主にソリューション&サービスエンジニア(一般ではシステムエンジニア)の職種で活躍されています。卒業生の方が携わっているビジネスのお客様の業界は、金融業界・官公庁などです。
 

入社したらどのような仕事をすることになりますか。

主に技術系職種で活躍いただいています。弊社の技術職はソリューション&サービスエンジニア職と開発職です。ソリューション&サービスエンジニアは、お客様とコミュニケーションを取りながら、お客様の課題を解決するソリューションやサービスを提供します。また、開発職は、ハードウェア・ソフトウェアなどの製品を開発します。様々なお客様を対象にビジネスを展開しているため、情報系出身の方だけでなく、それ以外の分野を学んだ方も、学生時代に培った考え方や経験を活かして活躍されています。
 

高専で学んだ知識は実際に活かされますか。 

学生時代に情報セキュリティ等専門性の高い分野で論文執筆や学会発表等、本格的に研究に取り組んできた場合は現場で即戦力となることがありますが、その他の場合は、大学・大学院卒の方も含めて学生時代の研究成果を業務に直接的に活かせている方は少ないですね。高専生の場合は、特定の研究テーマに取り組み、成果発表や報告に至った経験や、授業でのグループワークの経験は仕事をする上でもとても役立つと思います。また、自身の保有する知識や技術を仕事として活かすためには、お客様やユーザーのニーズに合わせた応用力が必要です。産技高専生は、学校で学んだ基礎技術や論理を自身の技術の軸とし、仕事を通じて新技術や応用力を修得・積み上げていくことができると考えています。
 

企業の夢や将来の展望について教えてください。

社会における富士通グループの存在意義(パーパス)は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」ことです。このパーパス実現のため、社員一人ひとりが自らを変革し、新たな価値を創造し、社会に信頼をもたらすことができる、そういう企業でありたいと考えています。IT企業からDX企業に進化することを目標としており、そのためには、社員一人ひとりが自立的に多くのことに挑戦することが大切だと考えています。今よりもさらに社員が自らを成長させられる、積極的に挑戦できる企業を目指しています。
 

「社員一人ひとりが自立的に挑戦することが大切」とのことですが、現状、社員の目標管理やキャリアビジョン形成のためのサポート体制はどのようになっていますか。

社員の目標管理については、半期ごとに目標を設定し、進捗状況や達成度について上司と面談する機会を設けています。また、毎月、社員と管理職が普段の仕事や今後のキャリアプランについて、ざっくばらんに話し合う「1on1ミーティング」を設け、社員が相談したり、アドバイスを受けられる機会を作っています。
また、社員が新たなことに挑戦する機会として、「社内ポスティング制度」があります。会社主導の異動の場合、本当に自分がやりたい仕事ができないこともあるので、やりたい仕事や所属したい部署に自ら手を挙げて異動できる制度で、若い人も含めて多くの社員がこの制度を活用し自身のキャリアの幅を拡げています。
 

高専を卒業した場合でも、希望すれば技術職以外の職種を経験することできますか。 

入社当初は技術職として配属されることが多いですが、希望すれば別の職種として活躍できる可能性もあります。そのために「社内ポスティング制度」があります。実際、技術職から営業職にジョブチェンジした人もいます。

 

求める人材や求める知識・能力について教えてください。

変化を恐れず新しいことに勇敢にチャレンジできるマインドの持ち主を求めます。さらに自分の仕事を楽しみ、感動を覚えることができる人材を歓迎します。
 

入社後に継続して専門知識の修得が必要になるかと思いますが、研修等のサポートはありますか。 

入社後は新入社員向け研修を受講し、その後、配属された部門別に研修を受講します。技術職については、文系出身の方もいるので、入社時のレベル別に専門研修を設けています。その後は担当業務によって求められるスキルが異なるので、所属する部門内研修でスキルを磨きます。また、弊社では約9,000個近くのEラーニング講座を社員向けに提供しており、その中から必要な講座を選択して受講することも可能です。
必要な資格取得に向けた研修講座も充実しています。漠然と業務に必要な分野の技術を学ぶより、資格取得を目標として勉強した方が効率よく学べるので、入社2年目程度の若手のうちにいくつかの資格取得を課している部門もあります。入社後も学び続けることは社会で活躍する上では必要な姿勢ですね。

 

最終学歴によって入社時点に求める能力は異なりますか。

あまり差はありません。院卒の研究をある程度しっかり続けてきた方には少し期待するレベルは高いかもしれませんが、高専卒の方については、高専でどれくらい一生懸命学んできたか、学んだ知識や研究の経験を軸に、会社でどれだけ成長できるか、といった伸びしろを重視しています。部門によっては、配属後の研修も最終学歴に関わらず同じ研修を受講します。求める成長のスピード感や今後のキャリア形成は最終学歴によって変わる場合もありますが、あまり差別化するようなことはしていません。
 

産技高専生はどのような印象ですか。

高専生全体に言えることかもしれませんが、とても素直で学んだことをしっかり吸収できる方が多いイメージです。また、入社後は院卒・大卒と一緒にスタート地点に立つので、少し気負っている様子にも見えますが、高専卒の方は周りと比べ、とても貪欲です。また、高専では先生との距離も近く、学生同士のコミュニケーションも活発なので、チーム意識を高く持っているように感じます。
弊社もタイアップさせていただいていますが、デザイン思考の授業などで鍛えられた自由な発想力は現場でも存分に活かされています。院卒・大卒の方よりも比較的高専卒の方が、積極的に意見を出し、チャレンジ精神も強い印象です。
 

これから社会に出る産技高専生に求めることはありますか。

まずは、学校の勉強にしっかり取り組み、インターンなどの社会経験も積んでおくと良いかもしれません。5年間一貫教育の特性を活かし、長い時間をかけてゴールを目指すような、そして社会人では経験できないことにチャレンジしてみてはいかがでしょう。部活動での経験やロボコンやセクコンなどのコンテストに出場する過程は会社でも活かされますので、ぜひ積極的に取り組んでほしいと思います。
 

学生へメッセージをお願いします。

弊社では、やる気のある人が活躍できる会社を目指し、先ほどご紹介した「社内ポスティング制度」の導入など人事制度の見直しをはじめ、社内カルチャーの変革が行われています。
欧米では当たり前のことですので、今後、こういった企業は国内でも増えていくと想定します。皆さんにとっては可能性が無限に広がっているということです。
高専時代にご自身の軸となる技術や新しいことを学ぶ力をしっかりと身に着け、社会に出て早い段階から様々なことにチャレンジしてください。応援しています。

 


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