荒川キャンパス 医療福祉工学コース 後藤 和彦 助教が第52回日本臨床神経生理学会学術大会において優秀演題賞を受賞しました!

11月24~26日に国立京都国際会館にて行われた第52回日本臨床神経生理学会学術大会において、荒川キャンパス医療福祉工学コースの後藤 和彦 助教が優秀演題賞を受賞しました。

 

<演題名>

「視差勾配の違いが自己運動知覚に与える影響:sLORETAによる視覚誘発電位の信号源推定」

<要旨>

自己運動知覚(自分がどちらに進んでいるかを把握する感覚)は視覚や前庭感覚の様々な手がかりがを統合することで得ていると考えられています。その中でもオプティックフロー(移動しているときに見える景色の変化パターン)が重要とされ、これを見たときの脳内の活動領域については様々な研究で調べられていました。しかし、実際に人が移動するときは2つの目で物体を立体的に捉え、物体との距離の変化からも自己運動知覚を得ています。これまでの私の研究では、両眼視差を用いて立体的に見えるオプティックフロー画像を作成し、これを見たときの脳活動が平面のオプティックフローを見たときとどのように異なるかを脳波の一種である視覚誘発電位(visual evoked potential: VEP)によって検討してきました。今回の発表ではこのVEPが脳内のどこに信号源を持つかをsLORETA(standardized low resolution brain electromagnetic tomography analysis)という信号源推定法を用いて検討し、立体的に見えることが自己運動知覚にどのような影響を与えるのかを調べました。

結果として、平面のオプティックフローでは後頭葉楔部と楔前部にまず活動が見られ、その後、頭頂葉上頭頂小葉と下頭頂小葉、さらに前頭葉上前頭回の活動が順番に見られました。一方で立体的なオプティックフローでは、後頭葉楔部と楔前部で活動が見られたのと同じタイミングで上前頭回と中心後回にも活動が見られました。
平面のオプティックフローで活動の見られた領域は先行研究で自己運動知覚に関連する領域とされている部位でした。オプティックフローを立体的にしたことでこれらの領域が同時に活動したということは、オプティックフローと立体視という複数の自己運動知覚にかかわる手がかりが与えられたことで、脳内での自己運動知覚に関する処理が促進された可能性が考えられます。


 

<受賞した荒川キャンパス医療福祉工学コースの後藤 和彦 助教>

受賞した荒川キャンパス医療福祉工学コースの後藤 和彦 助教

 

 

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