株式会社イシダ 橋本さま(令和6年インタビュー)

株式会社イシダ
橋本さま
令和6年11月インタビュー
株式会社イシダは、計量・包装機器の製造販売や物流システムの設計を行う企業です。
今回は、本校出身の橋本さまにインタビューをし、株式会社イシダについてや産技高専での学生時代についてお聞きしました。
今回は、本校出身の橋本さまにインタビューをし、株式会社イシダについてや産技高専での学生時代についてお聞きしました。
株式会社イシダについて教えてください
もともと「秤のイシダ」として知られていて、計量技術が最もコアな技術です。そこから発展して、袋詰め、検査、表示といった事業も展開しています。皆さんの生活の中だと、お肉屋さんやお魚屋さんにある、商品を乗せると「何グラム入っていて、何円ですよ」と表示してくれる計りや、スーパーの値札表示を作っています。
また、例えばポテトチップスの原料を運んで、量って、袋に詰めて、検査をして箱詰めするという一連のラインを組むというような仕事もしています。
これまでのキャリアと現在のお仕事について教えてください
入社してからずっと営業技術の仕事をしています。営業技術とは、イシダの製品や協力業者様の製品を組み合わせて、お客者の課題を解決したり、ご要望を満たすための機器の仕様や配置を検討し技術提案を行う部署です。
詳細設計を主として行うのではなく、エンジニアリング会社や技術コンサルタントに近い業務になります。商談の段階から、技術的な面、機種選定、仕様決めの支援をします。実際に客先を訪問して打合せに同席したり、設置予定場所を確認し、お客様のラインの運用方法や、機器配置の検討、提案レイアウトの作成、仕様の選定・検討を行います。
実際に実機のことを知らないとお客様に具体的な提案ができないため、設計に携わったこともあります。
配属はどのように決まりましたか
もともと、現場で機械をさわるよりも、設計など考える仕事をしたいと考えていました。人事の方と配属の面談をしたときに、いくつかの部門をあげていただいたなかで、自分は機械系を学んできて図面を描くことができるため、設計について考えながら現場も見ることができる営業技術の仕事をしたいと思い希望しました。
弊社は、職種別に採用を行っているので、希望の職種につくことが決まっての採用でした。
高専での経験が役に立ちましたか
もちろんです。自分の仕事は図面を描けなければ仕事にならないので、CADが使えるというのはとても役に立っています。
また、図面を描くうえでは、自分の手でものを加工した経験がなければわからないことがたくさんあります。たとえば、ものに穴をあける場所ひとつとっても、どこであればあけやすいというのは、実際に加工した経験があるからこそわかることです。高専で実際に手を動かして、旋盤を回したり、フライス盤で加工したり、溶接をしていた経験があるからこそ、最初の一歩が高い場所から始められたように感じています。
株式会社イシダではどのような人材を求めていますか
弊社は職種別採用をしているため、特に自分の携わっている営業技術でどんな人材を求めているかをお答えします。営業技術は様々な方向を向いてしなければいけない仕事です。
製品の出来栄えはもちろん、納期や費用面のことも考えなければいけません。それをお客様に向けても、社内に向けても説明していく必要があります。
良い製品をつくる、良い提案をするという大前提があるうえで、それを幅広い視野で見ること、それができる人が必要だと考えています。
一つの方法にこだわりずきず、たとえば費用対効果を考えたら、他の方法のほうが良いのではないかなど、一つの視点で100点満点がとれなかったとしても、様々な視点から総合的に考えてより良い方法を導きだすことができることが必要だと考えています。
橋本さんが仕事をするにあたって大切にされていることはありますか
一つの方法がすべてではなく、他の方法がないかを常日頃考えています。その他に、お客様の要望について、表面だけではなく、その裏に本来の意図や本質的な目的が隠れているのではないか疑いながら仕事に取り組むようにしています。
このように考えるうえでは、「なんでだろう」と疑問を持つことがとても大切だと思っています。たとえば、起きた事象について調査してほしいという要望がよくありますが、私は起きてしまったことを調査するのではなく、その事象が起きないようにするにはどうしたらよいかを考えたいと思っています。
そのように、お客様の要望、やりたいと考えていることから、それをやりたいと考える本当の目的はなにかを理解して、別の視点からの提案ができるかということを大切にしています。
企業の夢や将来の展望はありますか
計量包装業界で世界一の会社になりたいと考えています。国内では大きなシェアをもっていますが、世界に目を向けて、もっと大きくなりたいというのが、会社の夢です。また、夢とは少し違うかもしれませんが、部署の目標として、他部署からも気軽に相談ができる風通しのよい風土になるとよいと考えています。
営業技術が仕事をしている場所は、とても静かなフロアで、社内でも話しかけづらいという話を聞くことがあります。仕事を進めるうえでは、誰かに相談ができれば失敗を防げることが多くあると思いますし、また、お客様の要望について、一つの部署で解決案が見つからないことでも、他部署に相談することで解決できることはあると思います。そのようにより良い仕事をしていくためにも、話しかけやすい環境づくりを心掛けていきたいと思っています。

産技高専を志望したのはなぜですか
小さい頃からものづくりが好きで、プラモデルやラジコンを捨てる前に全部分解して中身の仕組みを見たりすることが好きでした。家にあった充電器を分解して半田ごてで改造したりもしていました。その姿を見ていた親に高専を進められ、受検しました。父親は理系出身ですし、祖父は技術者だったので、特に祖父は自分が高専に進学したことをとても喜んでくれました。
産技高専生はどんな印象ですか
学生の印象とは少し違うかもしれませんが、自分が入学して感じたことは、生まれも育ちもみんなバラバラで、様々なバックグラウンドを持っている人がいるというこです。生活やそれまでの育ち方が違う人たちが同じ環境にいて、同じことを勉強していること。一つの目標に向かってまとまっていることがとてもおもしろいと感じていました。本校の卒業生の活躍状況はいかがでしょうか
複数の部署で活躍しています。全体的な印象として外向けの仕事をしている人が多くじっとしていないイメージが強いです。
これから社会に出る産技高専生に求めることはありますか
これはなんだろう、なんでだろうという興味、疑問を持てる人になってほしいです。自分は普段は社内で仕事をしていますが、現場を見ることもとても大事だと考えています。自ら現場に行って機械を見るなど、自分で情報を取りにいくこと、好奇心を持って物事に取り組むことを大切にしてほしいです。
求められるというよりは、その意識を持つことで、より良い仕事ができるようになると考えています。

産技高専生へのメッセージをお願いします
まずは学生生活を楽しんでほしいです。お金を払って授業を受けられる、教えてもらえるうちに楽しんでいろんなことを吸収してほしいです。
学ぶことが大切ですが、楽しくないと続かないと思うので、とにかく楽しんで、楽しく学んでほしいです。
簡単ではないと思いますが、楽しむために友達をつくったり、いろんなことに興味を持って、学生生活を充実させてほしいです。