平成29年度 志茂さんインタビュー

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 志茂さん

5年 電気電子工学コース 品川キャンパス
志茂さん
水泳部所属
神奈川県出身

入学前に産技高専を知ったきっかけは何ですか

中学生のころ、家に一台しかパソコンがなくて、自分用にパソコンが欲しいなと思っていろいろ調べていたら、どんどん詳しくなって、もっと知りたいなと思うようになっていました。実際に進路を考えるころに、私立の高専が中学校に説明にきて、技術的なことが学べるし、就職率が高くていいなと思ったのですが、学費が高いので諦めていました。ただ、何か道はないかなと思って受検の情報誌を見ていたら、産技高専の情報が掲載されていたので、知ったきっかけはその説明会です。

入学することを決めた理由は何ですか

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 志茂さん

他の国立や私立の高専の見学にもいきましたが、施設の感じが新しいし、学費*1が安かったので、ここにしようと思いました。最初は高専への進学を反対していた母親も産技高専ならいいよと言ってくれたので、受検しました。

*1 学費・・・平成29年度現在、授業料は年額234,000円、入学金は43,200円(都内)です。詳しくはこちら

入学したら、何をしたいと思っていましたか

電気のことを勉強したいなと思っていました。入学前に参加した体験授業*2のときに、電気工事士の授業を体験して、その授業がものすごく面白かったんです。先生も楽しく教えてくれたし、一緒に教えていた先輩学生も電気の面白さを教えてくれたので、電気、特に電源関係のことを勉強したいなと思っていました。

*2 体験授業・・・学校説明会や体験入学などの入試関連イベントを実施しています。詳しくはこちら

入学後に、入学前と比べてギャップを感じましたか

入学前はいわゆる鬼教官みたいな人が多いのかなと思っていました。入学前に高専について調べたことがあって、「すごい厳しい」って色々なところに書いてあって、覚悟しないといけないと思っていました。ただ、実際には全然そんなことなく、普通の学校だったので、それがギャップでした。
ただ、1年生の初めての実験実習のときに、隣の学生が寝て、めちゃくちゃ怒られていて、恐かったです。でも、実験実習は、工作機械を使って危ないこともあるので、先生も真剣だったんだろうなと思います。

中学生のころはどんな中学生でしたか?

少しパソコンに詳しい中学生という感じでした。あとはソフトテニス部に入っていました。これもギャップになるのかもしれませんが、自分は運動部だったのもあって、産技高専の他の学生は自分よりも運動音痴な人が多いんだろうなと勝手に思っていましたけど、全然そんなことなく、動ける人ばっかりでした。

産技高専の校風はどんな感じですか

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 志茂さん

あまり一般的な学校っぽくないですね。
そういえば、中学生のとき、母親に「普通の高校に行きなさい」と言われていました。やりたいことが決まっているのに、なんで3年間も我慢しないといけないんだって思って説得しました。今は結果として、学費も安かったし、普通の高校だとレベルの高い大学にも行けなかったと思うので、よかったと思います。
ちなみに、中学校の先生には「なんで高専に行くんだ」と言われて、普通のことをやりたくないって答えました。

今までの学校生活で一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください

産技祭実行委員会が一番楽しかったです。自分は1~4年生の間、産技祭*3の音響担当だったんですが、自分が用意した環境の中で、いろんな人が楽しんでいるのを見れたのがよかったです。縁の下の力持ちですね。

*3 産技祭・・・毎年秋に開催している品川キャンパスでの学校祭の名称。荒川キャンパスは高専祭

2年次でのコース選択は迷いましたか

中学生のときから決めていたので、迷いませんでしたね。毎回、希望調査では電気電子工学コースと書いていました。このコースを選んだのは、興味のあったパソコンのなかでも電源のほうが面白いなと感じるようになっていて、将来的に、社会になくてはならないものを支える仕事をしたいなと思ったからです。

このコースで過ごしていて、良かったことや悪かったことはありますか

だいぶ満足しています。電気電子工学コースは、OB・OGとの縦のつながりが強いように感じます。自分も大学の編入試験前は、いろいろな用事でやってくるOBを捕まえて詳しく話しを聞いたりしていました。
唯一、悪かったことは、実習の授業でエレベーターの制御の実習が毎年あったんですが、自分の代になくなったことですね。めちゃくちゃ面白そうだったので、「最悪だ!」と思いました。

面白いと思った授業はありますか

デジタル電子回路の授業が面白かったです。回路を製作したり、グループで協力してCPUを設計、製作したりするのが面白いです。基板加工機*4を使うので、「ものづくりしてる!」と実感できました。基板加工機では、ドリルで銅箔*5を削って、電気の通り道をつくって回路をつくるんです。使うパーツも自分で選んで、他の授業で習った知識も総動員して製作しましたが、本当に楽しかったです。

*4 基板加工機・・・自ら設計した基板の製作をドリルとカッターを用いて切削により行う装置のこと
*5 銅箔・・・銅を薄くして箔形状にしたもののこと

都立産業技術高専 学生インタビュー:電気電子工学コース 志茂さん

授業や研究室で製作した基板と回路

今の研究内容について教えてください

「自動車等の排気ガスに含まれる窒素酸化物*6を無害化するシステム」の省エネ化に関する研究をしています。無害化するには、高電圧・高周波数の電気を使います。大体コンセントの約50倍の電圧、約370倍の周波数の電気で無害化しています。これは火力発電等にも応用できる技術で、電源を工夫したり、少ない電力で実現できるように研究しています。

*6 窒素酸化物・・・一酸化炭素等、酸性雨の原因となる物質のこと

卒業後の進路に進学を選んだ理由は何ですか

将来的に開発職として活躍したいので進学にしました。大学では継続して強電分野のパワーエレクトロニクス、大きい電力を制御して変換することについて研究していきたいと思っています。
パワーエレクトロニクスを説明すると、例えば携帯電話の充電器があります。充電器を介さずに携帯電話をコンセントに接続すると壊れてしまうけど、充電器によって携帯電話に合わせた電気に変換しています。また、充電していると携帯電話や充電器が熱くなってしまうことがあると思うんですが、それは電気を変換する回路で発生する損失が熱となり、無駄になってしまっているんです。自分はこの無駄をもっと削減できる、良い変換回路を実現していきたいと思っています。
大学に進んだ後は、この分野についてもっと詳しく研究したいし、知識を広めていきたいので、絶対に大学院に進学しようと思っています。

産技高専を志望する方へのメッセージ

普通科の高校がたくさんある中で、少数派の産技高専を自分の意志で選んだのだから、へこたれずにがんばってください。自分は入学して、めっちゃよかったです。ただ、好きなことをとことん極めていく感じなので、無個性で卒業するのは難しいと思うので、その点は覚悟してください。


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