令和2年度学生インタビュー 三矢さん

専攻科2年 創造工学専攻 電気電子工学コース
品川キャンパス
電気通信部
三矢さん
専攻科を知ったきっかけは何でしたか。
入学前に文化祭を見学し、その時の学校説明会で専攻科があること知りました。本科入学時は同じキャンパス内にある産業技術大学院大学※1と専攻科の区別がついていなかったので、まさか自分が専攻科に進学することになるとは思っていませんでした。
※1 産業技術大学院大学・・・産技高専が属する東京都公立大学法人が設置する社会人向け専門職大学院。産技高専品川キャンパスと同じ敷地内に立地しています。(参考:東京都立産業技術大学院大学HP)
本科生の時は専攻科の先輩と接する機会はありましたか。
本科では、電気通信部に入部しており、部員に専攻科の先輩がいたので、普段の勉強や専攻科について教えてもらっていました。
専攻科への入学を決めた理由は何ですか。
一番大きな理由は、慣れた環境で研究を続けられることです。また、本科の時に授業や研究で利用していた設備がとても充実していたこと、その設備を先生に許可をもらえば学生でも自由に使えることがとても魅力的で、引き続き産技高専で学びたいと思いました。
本科のコース選択で電気電子工学コースを選んだ理由はなんですか。また、コースの特徴を教えてください。
電子工作はどんなものを作っていましたか。
小学生の頃は、秋葉原の電子部品屋などで販売されているLEDを光らせる回路、イライラ棒作成キットといった電気系のおもちゃを作って遊んでいました。慣れてきたら自分で回路を組んでみたり、インターネットで調べながらラジオやオーディオアンプを設計したりしていました。現在も産技高専で学んだ知識を活かしながら昔よりグレードアップしたオーディオアンプをちょこちょこ作っています。
他大学への進学や就職は検討しませんでしたか。
実は、第一志望は他の国立大学を志望していました。本科の研究内容と全く同じ分野が専攻科になかったので、同じ内容を研究できる大学への進学を希望していました。残念ながら、希望していた大学への進学が叶わなかったので、専攻科への進学を選びました。専攻科では、いっそのこと研究内容をがらりと変えて、幅広い分野の知識を深めようと思いました。
専攻科に全く同じ分野の研究が無いとはいえ、近い分野の研究をしたいとは思いませんでしたか。
本科では、家のスマートホーム化に向けたデバイスのハードウェア開発について研究していました。専攻科には弱電系のハードウェアを専門としている研究室がなかったため、全く別の分野に挑戦した方が幅広い知識を学べると考え、あえて本科での研究と別の分野の研究室は選びました。
専攻科で新しい研究を始めることは大変でしたか。
どんな目標をもって専攻科へ入学しましたか。
物事を多角的に視る力を鍛えることを目標に入学しました。専攻科では、研究に限らず学校生活やプライベートでもたくさんの経験をしようと決め、学会への参加、編入生のSA※2、アルバイトなどに挑戦しました。アルバイトは専門知識を活かせる場所で働いており、産技高専で学んだ知識を最大限活用できるように意識しています。
※2 SA(スチューデント・アシスタント)・・・本校では、学校が行う学生支援の他、ピアサポート(学生に対する学生による支援)としてSA制度を導入しています。放課後に校内塾を開塾し、本科上級生や専攻科生が本科1・2年生に基礎科目に関する質問に答えたりアドバイスを行っています。また、SA制度を活用して放課後の情報センター端末室を開放し、利用学生にコンピュータスキルの助言を行っています。
本科と専攻科の違いは何ですか。
本科よりも能動的に動く機会が多いと感じました。本科では、テーマを教員から与えられ、そのテーマに沿った課題やものづくりをすることが多いです。専攻科では、課題のテーマの自由度がとても高く、分野の指定のみで授業の観点に合っていれば、興味があるものを選択して取り組むことが出来ます。専攻科でのエンジニアリングデザインの授業で、企業とコラボし、企業のニーズに合わせたものづくりを設計から製作・評価まで行いました。この授業は、新しい発見がたくさんあり、とても楽しかったですね。
本科では、実際にものを作る段階まではせず提案で終わることが多かったですが、専攻科では、実際にものを作り、その評価まで行うので達成感や学びの量が全然違います。
専攻科での生活を振り返って、一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください。
専攻科では、本科に比べ時間的な余裕があったので、色々なことに挑戦し、多くの経験ができました。自分とは異なる分野を専攻している方と交流する機会が増え、特に学会では様々な研究をしている方とお話できるので、たくさん興味深い話を聞き、とても新鮮で良い経験になりました。
電気電子工学コースに所属してよかったこと、悪かったことについて教えてください。
専攻科の電気電子工学コースは、学会などでの発表に向けた研究指導を重点的にしてくださる先生が多いです。やる気があれば、外部での発表の場に連れて行ってもらえる可能性があるのでとても恵まれた環境だと思います。ただ、専攻科生は全体的に人数が少なく、私の同期は3人ととても少ないです。人数が少ない分、先生の指導も手厚く受けられますが少し寂しい気持ちもありますね。専攻科入学後にミスマッチに悩むことがないためにも、本科の時から専攻科の先輩に色々と相談することをおすすめします。
専攻科での生活を振り返って一番つらかったこと、悔しかったことを教えてください。
※3 特別研究…指導教員のもと1年間ずつ実施され、専攻科教育の中核を占めています。特別研究を通じて、未知の問題に対するアプローチ手法を学び、自ら解決する能力を身につけることになります。
面白い授業やおすすめの授業などを教えてください。
特別研究がとても面白いです。座学では経験できない実践的な知識を手を動かしながら主体的に学べることが魅力です。また、チャンスがあれば学会発表にも参加でき、遠方での学会はちょっとした旅行気分も味わえます。先生の指導は丁寧だと思いますか。
本科とは違い、学生の人数が少ないので授業で質問しやすいですし、かなり丁寧に指導してくださいます。個人塾での授業に近いイメージですね。また、授業外でもアポを取れば色んなことを教えてくれます。ただ、本科の授業もたくさん担当されていて、なかなか授業時間外でアポをとるのが難しい時もあるので、事前に分からないことをまとめておき、授業前後に質問するなど工夫しています。現在、どのような研究をしていますか。
ディーゼル車や火力発電所など、化石燃料を燃焼させたときに発生するNOx(窒素酸化物)を還元処理する装置の小型化についての研究をしています。この装置は還元処理をするために約8kV(一般的なコンセントの70倍)という高電圧を必要とします。この電圧を発生させるためにトランスという大型部品(約30㎝角、重さ数キロ)を使用するため、装置が大型化してしまい、車などへの搭載は難しいものとなっています。私の研究では、このトランスを使用せず同様の電圧を発生させる回路の検討をしています。この研究が実用化できれば、排気ガスの処理に必要なNOx還元装置のコストを大幅に削減することが可能になります。就職を進路として選んだ理由は何ですか。
大学院へ進学すると研究内容が2年ごとに変わってしまいます。類似研究をしている研究室は他の大学院にもありますが、全く同じ研究をできるわけでもなく、学ぶ環境も変わり、また新たな研究を始めることは時間的にもロスが多いなと感じました。また、早く社会で経験を積みたいという気持ちもあったので就職を選びました。就職先でやりたいことは何ですか。
自動車の部品を製造する会社に就職する予定です。本科と専攻科で研究内容を変えたので電気の分野ではかなり広い範囲の知識を身に付けられました。特に、弱電・強電両方の知識を深めたので、この知識を活かした回路の開発・設計などの仕事がしたいです。昔から手を動かしてものづくりをすることが好きなので、シミュレーションだけでなく実機での検討にも携わりたいと思っています。産技高専での生活で思い入れのあるグッズや場所はありますか。
産技祭の時に電気通信部で作成して配布した工作体験の基板と自分で作成した真空管アンプです。工作体験の基板は、本科1年生・2年生の時に設計を担当しました。よくみると電気通信部のロゴ「DEN2」が書かれているんです!両方とも産技高専で学んだ知識を詰め込んだものなので思い入れがあります。

後輩や専攻科を志望する学生へのメッセージをお願いします。
専攻科では、専門分野のより尖った部分をいろんな視点から学ぶことができるので、ぜひ挑戦してほしいと思います。本科生は課題が多くて挫けそうになるかもしれませんが、その中でも楽しみや挑戦したいことを見つけて頑張ってほしいです。あなたにとって産技高専とは…。
「技術の海で航海する」
様々な分野の知識に触れながら、自身で舵を切って専攻(専行)していく場所だと思います。サポートをしてくださる先生方も真摯に向き合ってくれるので安心して研究に取り組めます。