令和3年度学生インタビュー 武藤さん

あなたにとって産技高専とは? 道しるべ やりたいことを見つけさせてくれる

本科5年 医療福祉工学コース
荒川キャンパス
人力飛行機研究部
武藤さん
 

入学前に産技高専を知ったきっかけは何でしたか。

自宅から荒川キャンパスがとても近いので、小さい頃から産技高専は身近な存在でした。
小学校の運動会では産技高専の校庭を使わせてもらったり、高専祭にも何度か遊びに行っていたので、5年制の学校で機械系などの専門的な勉強をしている学校ということは小さい頃からなんとなく知っていました。
 

産技高専に入学することを決めた理由は何ですか。

一番よく知っていて、自宅からも近いということもありますが、ものづくりが好きで数学も得意だったので自分に向いていると感じました。
中学生になって、体験入学や学校説明会に参加し、入学後のイメージがしっかりと出来たことも大きな理由です。
 

5年間という長い期間、難しい専門科目を学ぶことに不安はありませんでしたか。

入学前は勉強やレポートが大変なことよりも入学後にやりたいことを考えてワクワクする気持ちが勝っていました。
中学生の時に遊びに行った高専祭でロボット研究同好会等の技術系部活動の出し物が印象的だったので、私も入学後は部活動を頑張りたいと思っていました。
 

入学前に描いていた産技高専像とギャップはありましたか。

想像していたよりも、学校行事や部活動に積極的な学生が多く、活発な印象を受けました。
人力飛行機研究部の体験入部では、先輩のものづくりに対する熱心さ、大会出場のためにチーム一丸となって機体製作に励む様子に刺激されたことが強く印象に残り、入部を決めました。
 

中学生の頃はどんな中学生でしたか。

部活動はパソコン部に所属し、オリジナルグッズの製作等をしていました。内気な性格でしたが、学級委員を引き受け、慣れない中、一生懸命にクラスをまとめていた記憶があります。放課後は、塾で数学や英語を3学年以上先の内容まで学習していました。おかげで高専での数学や英語の勉強もスムーズにでき、計算量の多い高専での数学も抵抗感なく取り組めたと思います。
 

産技高専の校風はどんな感じですか。

1~3年次までは主に高校でも学習する一般科目がメインなのに対し、5年次にはほぼ全て専門科目に置き換わることや、部活動で1年生の時に指導くださった5年生がまるで大人のように見えたこと、荒川キャンパスでは、教室の座席も4年生からはゆったり座れる椅子にグレードアップすることなどから、学校内に高校と大学があるイメージです。
専攻科もあるので、15~22歳と幅広い年齢の学生が生活しているのも高専ならではだと思います。大学と高校の両方の雰囲気が入り混じっている感じですね。

本科5年 医療福祉工学コース 武藤さん
 

2年次のコース選択は難しかったですか?
また、医療福祉工学コースに決めた理由は何ですか。

機械系、電気系、情報系と様々な分野を学べることに魅力を感じて、医療福祉工学コースを選択しました。
入学当初は、どのコースを選ぶか悩んでいましたが、仲の良い友人も医療福祉工学コースを希望していたこともあり、学期末には迷いなく選択していたと思います。
機械系と電気系どちらを学びたいか迷っていたので、両方も学べる医療福祉工学コースを選択して良かったです。
 

医療福祉工学コースにはどのような特徴があると思いますか。

機械系と電気系を両方学ぶことができ、大学編入の際には両学科を選択することができることは魅力だと思います。
また、医療分野に関するトピックの実験実習を高校2年生相当の年齢から経験することができます。
さらに、エンジニアリングデザインや設計系の科目等、グループワーク中心の授業を多く展開しており、将来、開発職に就いたときに活かされる授業が多いと思います。
 

医療福祉工学コースに所属して良かったこと、悪かったことを教えてください。

良かったことは、工学を医療分野に活かす「医療工学」という現代社会からのニーズが高い分野を学べたことです。人工臓器について研究したいと思ったきっかけにもなりました。
悪かったことは、機械系と電気系の両方を学ぶことで、学ぶ分野が広かったために機械系科目の理解度には自信がありますが、電気系科目の理解を十分に深められなかったと感じている点です。幅広く学べるということはよかった点でもありますが、その分、全ての科目の理解度を深めるにはたくさん勉強する必要がありますね。
 

面白い授業やおすすめの授業を教えてください。

2・3年生の実験実習では、脳波・筋電図測定、歩行解析、高齢者体験、車椅子体験等の自分の身体を実験体とした実習がとても面白くて新鮮でした。
また、5年生の福祉機器設計では、形状調査やCAD設計等、今まで高専で学んできた知識をフル活用し、車のハンドル操作を補助する道具を開発します。
構想段階から先生の実務経験に基づくチェックが入り厳しいですが、大きなやりがいを感じることができます。
 

医療福祉工学コースで医療工学を学んでみて、新たな発見はありましたか

人間の身体に関する工学なので私たちに身近な工学分野だと思っています。
実生活でも高専で学んだ知識が活かされているものに出会うと「こんなところにこんな技術が使われているんだ!」と気づくことが増えました。
「この福祉機器を作るためにはどんな技術を駆使すればよいのか、ちゃんと調査を行ってつくったものなのか」等、商品を見るたびに考えるようになりました。
 

先生の指導は丁寧だと思いますか。

理解を学生の自主性に任せる先生もいれば、「なぜそうなるのか」まで詳しく手取り足取り説明くださる先生もいます。
その先生は、授業の前半60分を講義、残りの20分を演習、その後に解説までしてくださいます。
みっちり指導してくださるので、時間が経過してからも覚えていて、確実に頭に定着していると感じます。
 

中学校までの授業と比べて高専での授業はどうですか。

中学校までは先生の板書をノートに書くという作業が中心でしたが、高専の授業ではPowerPointの資料が手元に配布されて講義を聞くという大学っぽい授業もあります。
中学校までは全員が同じことを同時に行いますが、高専では授業についても自由度が高いので、テーマに沿って決められた範囲であれば好きなことが出来る環境ではあると思います。
 

高専生活を振り返って一番嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください。

レポート指導が厳しい先生から「クラス内で一番よくレポートが書ける」と褒められたことです。
実験レポートは時間をかけて一生懸命作成していたので、しっかり見てくれて、評価してくれたことがとても嬉しかったです。
 

レポート作成で心掛けていることやコツはありますか。

忘れないうちに書き始めることを心掛けていました。
早めに始めることができれば時間をかけて見直すこともできるので、なるべく授業が終わったらすぐに記録して、レポート作成に取り掛かっていました。
 

テスト勉強もコツコツ計画的にやるタイプでしたか。

2週間前ぐらいからテスト勉強を始めます。時間割に合わせて勉強するようにしていて、月曜日は月曜日の時間割の科目を勉強して、土日には演習を中心に取り組むようにしています。頭の中でなんとなく計画を立てながら勉強しています。
 

産技高専での生活を振り返って、一番つらかったこと、悔しかったことは何ですか。

新型コロナウイルス感染症の影響で、自分たちが執行代の時の鳥人間コンテストが中止になってしまったことです。
出場資格を得られたかどうかも分からなかったので本当に悔しかったです。
大学進学後も続けたい気持ちはありますが、大学院を目指すとなると研究が忙しくて部活動に熱中することも難しいのかな~とも感じていて、今のチームメイトと社会人になったらOBチームを結成してリベンジしたいねと話しています。

チームおそろいのTシャツ
 

研究内容はどのようなものですか。

長期使用できる人工肺を大学と共同開発しています。人工肺は既に実用化されているものの長期使用できないという課題があります。人工肺の交換は患者の身体にも大きな負担になるので、少しでも長期使用できる人工肺を開発したいと思い、この研究に取り組んでいます。具体的には、3DCADを使って共同研究先の大学からの設計案を図面に起こし、設計を行います。また、設計したモデルを実際に3Dプリンタで製作し、簡易的な評価を行います。今後は更なる性能向上に向けて改良モデルの考案を行う予定です。
 

進学を進路として選んだ理由は何ですか。

高専での学びの中で機械系科目の理解に自信を持ち、機械工学を医療に応用した分野の学習・研究をしたいと考えるようになりました。
進学先の大学では、機械系医工学分野の講義が豊富に開講されており、人工臓器をはじめとする関連分野の研究室が多く設置されていることから、私にとってこの上ない学び・研究の場であると考えています。
 

進学先でやりたいことは何ですか。

人工臓器や医療機器の開発に携わるエンジニアとして活躍できるよう学部卒業後は大学院に進学し、研究に集中したいと考えています。
大学進学後は、まずは大学院進学のためにしっかり勉強に取り組み、勉強以外でもサークルにも参加できたらいいなと考えています。思い切り大学生活を楽しみたいと思います!
 

高専生活で思い入れのあるものはありますか。

思い入れのある尾翼と作製に苦労した部品

今年度(2021年度)の鳥人間コンテスト出場した機体の尾翼です。元々、尾翼は可動しないものだったのですが、ルール変更により可動するものに変更しなければならなくなりました。尾翼の製作担当の人数が少ない中、スピーディに完成させなければならず、どのように設計すれば上手くいくのか試行錯誤しながら取り組みました。前回大会では、電気で動かす仕組みで設計したのですが、大会当日のプラットフォーム上で動かなくなってしまいました。その反省を生かして、コックピットとワイヤーでつないで物理的に動かす方法に改良しました。
右側の写真の部品は、コックピットと尾翼の可動部分をつなぐ部分で、コックピットの動きに上手く追従できるよう細かな調整を重ねました。重量や大きさの細かな調整が必要で、大会当日の天候にも影響されるので、フライトまで気が抜けません。無事フライトを終えた時は、今までの頑張りが報われた瞬間でした。

 

後輩や産技高専を志望する生徒へメッセージをお願いします。

高専生活では、勉強や運動、なんでも継続することが大事です。高専生活は5年間と長いので、継続しやすい環境だと思います。反面、中だるみしやすいですが、気持ちに流されずに目標を掲げて継続的に努力した先の達成感は他には変えられません。
 

あなたにとって産技高専とは?

「道しるべ」

入学当初は将来像が明確ではなく、どの分野に興味があるのかもはっきりしていませんでした。
そんな私でも高専で学び続けるうちに、やりたいことが見つかり、その目標のための初段として大学へ進学することができました。
5年間の高専生活では、授業、部活動、インターンなどきっかけになるものはたくさんあるので、必ずやりたいことが見つかるはずです。
 


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