尾方さんインタビュー(令和2年9月)

都立産技高専卒業生インタビュー尾方さん

尾方さん

平成25年度 本科 航空宇宙工学コース卒業
ロボット研究同好会所属
現在 ANAベースメンテナンステクニクス株式会社 所属
令和2年9月オンラインインタビュー


尾方さんは平成25年度に航空宇宙工学コースをご卒業され、現在は、ANAベースメンテナンステクニクス株式会社で航空整備士としてお仕事をされています。現在のお仕事や産技高専時代についてオンラインインタビューでお伺いしました。

 

産技高専を志望された理由は何ですか

幼い頃から手を動かすことが好きでした。中学校に進学先の校名リストがあり、自分に合いそうな学校を調べている時に産技高専を知りました。専門的な工学的知識やフライス盤、旋盤などの機械加工技術を学べる高専での学びは自分に向いており、将来にもつながると思い、入学を志望するようになりました。
 

航空宇宙工学コースに進まれた理由は何ですか

自宅の近くに飛行場があったので、幼い頃から自然と飛行機に興味を持つ環境がありました。特に荒川キャンパスは前身が航空高専であり、キャンパスに実機があるので、実機を使った実習ができることがとても魅力的でした。
 

 

産技高専時代に印象に残っている出来事はありますか

ロボット研究同好会に所属していたので、高専ロボコンへの出場が深く印象に残っています。自分たちで電子回路や歩行機構などを設計し、実際のロボットを製作したことは、中学生まで経験することのなかった″ものづくり″そのものだったので、その楽しさが今の仕事を楽しむ気持ちにもつながったように思います。

ロボット研究同好会の活動日は、基本的に平日は毎日夜まで、夏休みも返上して活動していたのでとても忙しかったです。部活動と勉強の両立は、空いた時間を利用して同級生と協力して頑張っていました。部活動を終えて帰宅してからのレポート作成という毎日は大変でしたが、それも今では良い思い出ですし、良い経験になりましたね。

 
 

産技高専時代に印象に残っている授業や学びはありますか


実際に荒川キャンパスの科学技術展示館にある飛行機を使った実習や風洞実験などが印象に残っています。飛行機はなぜ飛ぶのか、飛んでいる時に飛行機にはどのような応力が発生しているのか、理論だけを学ぶのではなく、実験を通して実際に手を動かして学べたことはとても貴重な経験でした。実機を使って学べることは産技高専へ入学した決め手の一つでもありました。科学技術展示館の実機を使って振動実験を行い、レポートを作成する課題があったのですが、かなり深く考察する必要があったので、毎日、友人と議論を重ねたことはとても良い思い出ですね。

 

産技高専時代に印象に残っている教員はいますか

産技高専の先生はユーモアあふれる方が多く、どの先生も深く印象に残っています。
単に理論を学ぶための授業ではなく、先生ご自身の実体験や失敗談、時代背景等を踏まえながら、様々な角度から教えてくださり、その時に学んだ知識は今でも大切な知識になっています。先生が特許を取るにあたり苦労したことや授業で勉強していることがこんなところに活かされている等、先生ご自身の経験談や身近なエピソードを踏まえて物語的に勉強できたのがとてもよかったですね。

 

産技高専で学ぶことのメリットや良い点を教えてください

自由な校風と豊富な設備、勉強や研究をサポートしてくれる先生が揃っている環境が一番の魅力ですね。自分の興味のあることを追究したい、将来の夢に繋げたいと考えている方にはとても良い学校だと思います。設備が充実しているので「こういうことが知りたい!こういうものを作りたい!」と思った時にすぐ行動に移せる環境があります。先生と学生の距離が近く、勉強で分からないことがある時はすぐに先生に聞きに行ける環境にある事もとても良かったですね。

  

産技高専時代にやり残したことはありますか

英語をもっと勉強しておけばよかったな…と思っています。
業務の関係上、英語に触れる機会がたくさんあります。整備マニュアルは全て英語で書いてあるので英語を読む力がとても重要になってきます。部署によっては、海外で現地の方と英語でコミュニケーションをとるため、英語を聞き取る力・話す力も必要だと感じています。現在は、整備の勉強と並行して英語を勉強しなければならないので、たくさん時間を使える学生のうちにもっと英語を勉強しておけばよかったと感じています。
 

現在、会社ではどんなお仕事をされていますか。

都立産業技術高専 卒業生インタビュー尾方さん
 

飛行機の整備の中でも機体構造に関する整備や不具合修復、改修作業を担当しています。具体的には、運航中に雷を受けたり、鳥に衝突したりして損傷した機体の板金修理など、機体構造の穴あけや研削、損傷を点検するための打音検査や超音波検査といった非破壊検査業務を行っています。


 

航空整備士の道を選ばれた理由は何ですか

都立産業技術高専 卒業生インタビュー 尾方さん

もともと飛行機が好きだったことと、手を動かす仕事に就きたいと思っていたため、どちらも叶えられる航空整備士を志望しました。近所の飛行場に展示されていた機体を見てかっこいいなと感じ、幼い頃から漠然と航空業界への憧れがありました。産技高専で勉強しているうちに航空整備士を目指すようになりました。他に専攻科や大学への進学という道もありましたが、4年生の時にANAグループ整備部門が開催するインターンシップに参加し、「卒業したらすぐにDOCK整備部門のANAベースメンテナンステクニクスで働きたい!」と思ったため、就職を選択しました。
 

産技高専での学びや経験は今のお仕事に活かされていますか

材料学や材料力学、航空工学で学んだ専門知識が非常に役立っています。機体構造の整備は、機体に使用される材料の特性や機体構造が受け持つ荷重など、多くの工学的知識が必要になります。現在、航空工場整備士の国家資格取得を目指しており、過去に高専で学んだ知識と重なる部分が多いので高専時代の教科書を読み返しながら勉強を進めています。また、社内資格を取得する際、レポート提出が求められるのですが、高専時代にたくさんのレポートを経験したおかげで、抵抗なく取り組むことができました。
 

働く上で大切にされていることを教えてください


機体構造の修理は既存の構造に穴をあけることからやり直しをすることが出来ず、一つのミスが飛行機の安全に大きな影響を与えてしまう可能性があり、ミスが許されない責任のある仕事です。正確な仕事をするために、「これで十分だろう」と思わずに常に学ぶ姿勢を大切にしています。
現在所属している構造整備部は勤続30年以上の職人気質の方が多いです。そのようなベテランの方でも常に勉強する姿勢を未だに持ち続けています。そんな先輩方の背中を見て仕事をしているうちに自然と自分もこの姿勢を大切にするようになりました。
 

今後のキャリア展望や夢について教えてください

より多くの修理、改修作業を経験して技能の向上を図っていきたいです。また、培ったスキルを活かし、格納庫で行うドック整備の日々の作業進捗を管理するゾーンコントローラーとしても活躍していきたいです。構造整備部には、尊敬する先輩方がたくさんいらっしゃるので、先輩方のようになることを目標に日々業務にあたっています。

 

「産技高専に戻りたいな」と思うことはありますか

産技高専時代の楽しい思い出は今でも思い出すことはありますが、希望どおりに現在の会社に就職できたので戻りたいとは思いません。ただ、社会人になってからは業務をこなしながら勉強しなければならないので、学生の時は勉強する時間がたくさんあったのにもったいなかったな、と思うことはあります。

 

受検生や在校生に向けてメッセージをお願いします



学生生活の中で自分の強みや好きなことを見つけて欲しいと思います。それを見つけることができれば勉強や好きなことに取り組める密度がかなり変わってくると思います。
高専での学生生活は、実験実習、課題、レポート作成に追われて忙しい毎日を送ることになりますが「これなら一生懸命打ち込める!突き詰められる!」と思えるものを一つでも見つけることが出来れば、産技高専は、自分の将来にとって本当に有意義な場所になると思います。
 

あなたにとって産技高専とは・・・

「自分の可能性を広げることができる場所」

学ぶこととつくること、両方の楽しさを知ることが出来る数少ない学校だと思います。

 


 

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